建物の外壁は境界線から最低いくら離せばいいの?

外壁後退距離の制限は一つだけではないのでしょうか?結局いくら離せばいいのでしょう。民法の50センチを離せば問題ないのでしょうか?

外壁の離れの規制は数種類あり、原則それら全てに適合する必要があります。50センチ離せば問題ないとは言い切れません。建物の位置する地域により異なります。


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外壁後退距離制限の種別一覧

外壁後退距離の規制一覧表

外壁を後退させなければいけない規制には、建築基準法によるものだけではなく、数種類あります。それぞれに離れの距離、緩和措置などが異なり、建築物の位置する地域により、規制の有無や内容が異なります。

一般的な規制を以下に示しますが、具体的な規制内容については、管轄市町村の建築指導課に確認する必要があります。

外壁後退距離規制一覧表
規制名称 規制内容 後退距離 対象地域 緩和の内容 区分
建築基準法47条による壁面線 道路から外壁又は柱の面を後退させる 各地方自治体が指定する距離 各地方自治体の指定した位置 2m以下の門・へい、地盤面下の部分、市町村等が許可した歩廊等は規制対象外 1
建築基準法54条による外壁後退距離 道路又は隣地境界線から外壁又は柱の面を後退させる 1mまたは1.5m(その地域の都市計画で定める) 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内で、その地域の都市計画で後退距離が定められた位置 一定の条件を満たす小規模な部分は制限を超えることができる
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1
地区計画条例による壁面の位置の制限 道路又は隣地境界線から外壁又は柱の面を後退させる 当該地区計画条例の定める距離 当該地区計画条例の定める位置 当該地区計画条例の定めによる 1
風致地区条例による壁面後退距離 道路又は隣地境界線から外壁又は柱の面を後退させる 当該風致地区条例の定める距離 当該風致地区条例の定める位置 当該風致地区条例の定めによる 2
建築基準法69条の建築協定による外壁後退距離 道路又は隣地境界線から外壁又は柱の面を後退させる 当該建築協定の定める距離 当該建築協定の定める位置 当該建築協定の定めによる 3
民法234条による後退距離 建物は境界線からの距離を保つ 50センチ 全国 防火地域又は準防火地域内の耐火構造の外壁は隣地境界線に接して設けることができる(建築基準法65条) 4

離れの規定は全て守らなければいけないのか?

外壁後退の規制に限らないことですが、規制を順守しない場合のペナルティーが各法ごとに設けられていますので、実質上順守しなければいけないものがほとんどです。

上表の離れの規制をペナルティーの種類別に分けると以下のような区分になります。

  1. 守らなければ建築確認申請が通らないもの:建築基準法による壁面線・外壁後退距離、地区計画条例
  2. 守らなければ地方条例により罰則や罰金の対象となるもの:風致地区条例
  3. 守らなければ地域の協定運営委員会から是正を求められるもの:建築協定
  4. 守らなければ隣人から是正を求められるもの:民法

1~3については、程度の差はありますが、社会的制裁、不動産価値に関係する問題なので、順守する必要があるのは言うまでもありません。

ただし、やはり、他の規制と性格が大きく異なるのが4番の民法の規定です。民法は、私人の間の権利調整を目的とした法律なので、公的な機関から制裁があるわけではありません。よって、隣人との調整によっては、守らなくても実質上の支障が生じない場合もあるのです。

民法の50センチの離れの規定と、他法の離れの規制との関係については、以下も参考にしてみてください。


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50センチ離せば問題ないとは言い切れない

民法は一部の例外(建築基準法65条)を除き、立地場所に関係なく全国一律にはたらく規定ですので、原則、最低限50センチを離すことが求められます。加えて、他法による規制がある場所については、それらも全て守る必要がありますので、50センチ離せば問題ないということにはなりません。

一方、上表の規制の内、民法以外は規制がかからない場所もあります。つまり、民法の50センチの離れの規定しかないという場合です。そのような場合は、50センチ離しておけば一応の問題はないということになります。

なお、ここで、一応の問題と表現したのは、50センチを離しておけば、万事がうまく収まるわけではないためです。

民法234条の50センチの離れを守っていたにしても、隣人の性格や、その地域の慣習との差がある場合などによっては、採光・日照・通風・落雪・視線などを問題として、50センチでは離れが足りないと主張される可能性も否定できません。

50センチというのはあくまで最低限のルールと考えられていますので、「50センチ離せば問題ない!」と、建築する権利のみを主張するのではなく、周囲への配慮を検討したうえで計画することが大切です。

例えば、敷地に余裕がなく、やむを得ず北側隣地に50センチまで寄せる必要がある場合には、隣人に事前に事情を説明し、隣人の求めにはできる範囲で譲歩する姿勢をもって交渉に臨むのと、そうでないのとでは、その後続く人間関係に大きな差が生じます。

以上のことから、公的な規制上も、民事上のことからも、外壁を50センチ離せば問題ないとは言い切れないといえるでしょう。

わかりやすさを優先するため、厳密・正確な用語表現になっていない部分がありますので、ご容赦ください。

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