ハウスメーカーの 契約履行能力とは

前のページ(ハウスメーカー・工務店選びのポイント)で、業者を選ぶ時に最も重要なことは、相手の契約履行能力を確認することであるという説明をしました。

ここでは、その住宅メーカーの契約履行能力とは具体的になにか、そして、それがなぜそんなに重要なのかについて説明したいと思います。

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契約履行能力とは

ここでいう契約履行能力とは、単に契約図書のとおりに住宅を建てる能力を指すのではありません。

前ページの繰り返しになりますが、わかりやすくいうと、満足の提供とともに確かな住宅を引き渡す総合的な力をいいます。

具体的に見ていきましょう。

契約履行能力とは「工事能力」+「サービス力」

以下の図に示すように、契約履行能力とは、契約書に明示された工事請負人としての義務を着実に実施する工事能力と、契約の内容を補完し、契約に込められた施主の期待を100%発揮するためのサービス力をあわせたものをいいます。

契約履行能力とは、工事履行能力+サービス力

単に契約書に書かれている義務を遂行して図面通りの住宅を引き渡すだけでは、本来の目的を果たしたことにはなりません。

満足や喜びがともなってはじめて費用と交換する価値が生じ、商行為が成立するわけです。

つまり、契約図書通りの確かな住宅が引き渡され、かつ、支払った費用に対する施主の十分な納得があること・・・これがセットでなければいけないのです。

工事能力が高いだけではダメ・・・当然ですね。

工事契約とは、不確定、想定外、変更といったことが常にともなうものです。
したがって、

  • 契約に付随する説明、確認などの段取り
  • 契約を履行するうえで当然果たすべき注意義務

こうしたことが当事者の努力で補われてはじめて、契約というものが完遂されることになります。

住宅業者が行うこれらの努力や配慮・・・このサービス力の高さが、施主の生涯の住み心地や満足度を大きく決定付けるのです。

つまり、このサービス力を含んだ契約履行能力全体を評価して住宅業者を選別することが極めて重要ということになります。

契約履行能力工事能力+サービス力

まず、これをしっかり意識するようにしましょう。

もう少し別の表現でいえば、工事能力は業者の技術力、そして、サービス力は人間力というイメージでしょうか。

それでは、契約履行能力の肝となるサービス力についてもう少し具体的に見てみましょう。

契約書に明示されることのない、努力や配慮といったものがなんなのか・・・具体的なイメージをつかんでもらうため、例を挙げて説明します。

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サービス力とは段取り力

サービス力についての前述部分をまとめます。

サービス力

契約を補完する調整作業を誠実に行い、施主に満足を提供する能力
サービス力とは、契約に伴って生じる「確認・伝達・説明・記録」といった契約を補完するための業務、つまり段取りを確実・ていねいに行い、契約に込められた施主の期待を実現し、満足の質を高めるために向けられる努力をいいます。

サービス力の基本となるのは、こういった「確認・伝達・説明・記録」といった基本的な段取り作業になります。

全くの0からつくり上げる注文住宅では、この段取りをいかに確実・ていねいに行うかで出来上がりの質と満足度が大きく左右されます。

つまり、サービス力は段取り力と言い替えてもよいのです。

住宅メーカー担当者の仕事の9割はこの仕事といってもよいでしょう。
実は、こういった地味な段取り作業こそが、両者の信頼・納得を生み、その合意の積み上げの結果、施主の満足感が築かれていくのです。

ハウスメーカー担当者の段取り

専門知識は持ってて当たり前・・・それよりも重要なのがこういった裏方作業なんですね・・・。

もう少し、このサービス力の基本である「確認・伝達・説明・記録」といった段取り作業を具体的に掘り下げてみましょう。


ナオミ1

大事なサービス力って、そんな基本的なことなんですか?

けん

そうなんです。
大切なことは常に「シンプル」です。

ハウスメーカーの場合は、ある程度決められた仕様の中から選択する仕組みになっていて、顧客とのやり取りも長年の販売実績で培われているため、意思疎通ミスは起こりにくくはなっています。

しかし、それでも人間ですから聞き取り、解釈、伝え方において相互のミスマッチが起こりえます。

そして、そのズレが思わぬ結果を招いてしまうのです。

注文住宅は、伝えることが命です。
でき上がりの満足度は、のこぎりを引く腕で決まるのではなく、伝え方で決まってしまうのです。

施主の頭でイメージしていることをニュアンスまで含めて忠実に実現化するためには、いかにきめ細かく「確認・伝達・説明・記録」を行うか・・・これに尽きるのです。

段取りの具体例

サービス力の基本となる段取りとはなにか・・・それを具体的に見てみましょう。

重要な「段取り」の例

■「思っていたのと違う!」をなくす努力

施主が思い描いている出来上がりのイメージ(※)と現実の出来あがりの不一致が起こらないよう調整する。

  • 施主のイメージを綿密に確認し、設計・現場へその意図を伝達する。
  • 施主のイメージが現実からかけ離れることがないよう、わかりやすい図面や施工事例写真などでていねいに説明し、イメージを現実レベルに着地させる

イメージの例
施工上の納まり、仕上げの色味・風合い、明るさ、温かさ、湿度、気流、におい、使い勝手、開き勝手、照明の位置・高さ・窓や家具の位置・高さ、コンセントの位置・高さ・・・

■金額・デメリットの説明

金額負担、将来負担、施主にとって都合の悪いことをていねいに説明する

  • 外装材、設備などの定期的な更新時期と費用や光熱費の説明。
  • メンテナンスや維持費などに関するデメリットの説明。
  • 施主の追加要求による工事の実施は、増加金額の説明後に行う。

■説明・確認・指示内容の記録

以上のように、契約書や図面に表現しきれないことの中には、このような重要な事項がたくさん含まれています。

そして、これらの「確認・伝達・説明・記録」とは、施主の住宅への期待を実現させるために当然行わなければならない専門事業者としての注意義務にあたるものです。

しかし、この注意義務は契約書に明確な記載がないため、どこまでていねいに果たすかは業者の姿勢しだいということになります。

この業者によってばらつきのある注意義務・・・つまりサービス力(段取り力)が施主の満足にとって極めて大切なカギを握っているのです。

それでは、さらに具体的な事例で業者によるサービス力(段取り力)の違いを見てみましょう。

サービス力の具体的事例

サービス力の違い A社とB社

例えば、工事途中でリビングの一部に収納家具を付けたいと追加発注した場合のハウスメーカーの対応例を見てみましょう。

○ サービス力が高い A社

―工事途中でリビングの一部に収納家具設置を追加発注した場合―

  1. 速やかに家具の位置図・割付け図を作成し、追加費用とともに施主に提示
  2. 施主から家具の高さ・大きさについて修正指示を受け、再度図面・見積りを提出
  3. 仕上げ材料のグレードダウンなどによる減額案を作成し、追加費用との相殺案を施主に提示
  4. 相殺案で施主の発注意志を確認し、速やかに現場へ指示
  5. 追加費用なしで家具設置完了

上記のような対応を期待したくなりますが、現実に起こりえる対応は以下のような感じです。

× サービス力が低い B社

―工事途中でリビングの一部に収納家具設置を追加発注した場合―

  1. 追加変更の図面、費用見積もりがすぐに提出されない
  2. しばらくしてやっと図面のみが提出されるが、その間現場はどんどん進んでいる
  3. 家具の高さ・大きさについて修正指示をしたが、修正後の図面・見積りが全く提出されない
  4. 現場が進んでいるので、減額できる要素はないといわれる
  5. 家具の修正指示が現場に伝わっておらず、最初の図面で施工されてしまい、やり直し工事が発生
  6. 工事完了段階ではじめて費用についての説明があり追加請求を受ける
  7. 追加工事費用が法外な値段(やり直し工事分も見えないように請求されている可能性も・・・)

全く同じ工事でも、このように業者の対応に雲泥の差があるのがわかりますね。

そして、こういった契約書には書かれない目に見えない努力や配慮が提供されるかどうかで、代金を支払う時の納得感が全く異なるのです。

プロであれば、いい業者かどうかを見分けるときは、A社のような機敏性・誠実性が基本的に備わっているかどうかを見ます。

工事の腕も大事ですが、それ以上に大事なのが、
やるべきことを言われなくても当たり前にやる人間かどうかです。

代金を支払う側は、本来、こういった「人間の信用」に基づいた商品であるかどうかで「支払ってもいい」という意思決定を行うのですから、そこが崩れてはいけないのです。

サービス力の基本である「確認・伝達・説明・記録」といった段取りがいかに大切かがお分かりいただけたと思います。


ナオミ1

同じものにお金を払うのだったらB社のような住宅メーカーに払いたくありません。

けん

そのとおりです。
ですが、B社のようなだらしない業者は、本当にとことんまでだらしないものなのです。

ナオミ1

そのようなだらしない業者は許可を与えないようにはできないのですか?

けん

残念ながら、公的機関で業者の人格審査までは行ってくれません。

だらしない業者に家づくりをさせない唯一の方法・・・それはそのような業者と「契約をしない」こと以外ないのです。

つまり、あなたが自身が審査するしかないのです。

ナオミ2

わかりました。
だから「契約履行能力を見極めることが大切!」と、しつこくおっしゃっているのですね・・・(^_^;)

けん

しつこくてすみません・・(^^ゞ
でも私が命がけで伝えたいことなんです!

施主の満足度は業者のサービス力で決まる

自動車や家電製品との違い

洗濯機や車などの一般製品と注文住宅との違いを例にとってみると、ハウスメーカーのサービス力の重要性がわかりやすいでしょう。

一般的には、家電などを買うかどうかを決めるとき、出来上がった製品を見ながら、その製品の機能だけを考えて決断すればいいことになります。

つまり、洗濯機なら洗濯物をやさしくきれいに洗えるのか・・、車なら快適・経済的に移動できるのか・・といった一機能に集中して判断すればいいわけです。

そして、説明を聞いて十分納得した上で購入を決断できます。

一方、注文住宅の場合は、使い勝手や見た目、設備、耐震性、シックハウス、省エネ性、メンテナンス性、光熱費・・・など、実に多くの機能を同時的に、しかも、実物を一切見ることなく考える必要があります。

そして、どんなに説明を聞いても建物が出来上がって住んでみないことには、最後まで納得できるかどうかがわかりません

これは一般人にとって、とても難しい話です。
なので、どうしても、ハウスメーカーに頼ってしまいたくなります。

そして、「こうしておけばよかった、最初に言ってほしかった」・・・こうした家電や自動車では起きにくい後悔が起こりやすいのが注文住宅です。
さらに、その後悔による精神的影響がとてつもなく大きい・・・。

施主の後悔を左右してしまうハウスメーカーのサービス力に依存せざるをえない・・・これが注文住宅の一般製品とは異なる大きな特徴なのです。

以上を整理してみます。

一般製品(家電等) 注文住宅
支払のタイミング 出来上がったものを見て納得の上、支払うかどうかを決められる 実物を見ずに、納得できるかもわからない時点で支払うことを決めなければならない(契約)
機能の数 概ね一つの機能だけを判断すればよい 多数の機能を判断しなければいけない
何を決断するか 購入するかしないかだけを決めればよい 購入決定に加え、どのようにつくるかも決めなければいけない
失敗したとき 後悔してもあきらめがつけやすく、次回の購入の参考にできる 後悔してもあきらめがつかず、失敗を参考にできる次の機会もなく、さらに金額が大きいためショックが大きい
責任性 自己責任で購入を決断できる 自己責任と相手責任の境界があいまいになりやすくトラブルが生じやすい
満足度の決定要因 主に製品の機能が満足度を決める 業者の事前の丁寧な説明といったサービス力が満足度を決める

業者のたった一言が明暗を分ける

一般に工事契約には以下のようなトラブルがつきものです。

よくあるトラブル

  • 「言った」「言ってない」
  • 「説明した」「聞いてない」
  • 「確認した」「確認は受けたが、こんな結果を期待していない」
  • 「そもそもこんな選択肢があるなど説明されてない!」

こういったことがあると、せっかく品質の良い住宅を引き渡されても、納得がいきませんよね・・・。

期待と違うといってやり直しを求めるのも横暴な態度だし、かといって決めたのは自分だからと泣き寝入りするのも悔しい・・・。
もっと、丁寧に説明してほしかった・・・一言確認してほしかった・・・と思いながら、大人の対応をするのが現実です。

しばらくつきあうことになる業者さんとの関係を壊したくないという人としての良心が働くんですね・・・それが日本人のいいところでもあるわけです。

前述のように、施主が後で不満を抱くことがないよう、要望をきめ細かく把握し、連絡調整を迅速・適確に行う・・・これを施主の個性に合わせて行えるかどうかが、満足度のカギを握ります。

施主が重視するポイントは各人各様なので、日本人が通常満足する最大公約数的な住宅ではなく、施主の個性にマッチした住宅であることが納得の必須要件になってきます。

「このお客さんは、耐震性を気にされているようだから、しっかりとていねいに説明しよう。」

そのような気持ちで、お客さんのニーズに合わせ、どんな質問に対しても常に200%で応えてくれる相手・・・そのような相手と契約を結ばなければいけません。

「お客様の要望に合わせて、耐震性を建築基準法レベルの1.5倍に向上させるオプションもあります。どのようなことがご不安ですか?」
こういった住宅メーカーのたった一言の確認が、生涯の満足度を決めるのです。

「うちは、頑丈につくってますので耐震性については安心してください。」ではダメなのです。

施主の不安がどこにあるのか・・・それを適切な質問や提案を投げかけ鋭く察知する・・・そういった施主の不安や疑問を取り除くことを最優先に考える姿勢も業者のサービス力の基本をなすものなのです。

「物」ではなく「満足」を引き渡す相手でなければいけない

注文住宅とは選択の連続です。
そして、その選択は人それぞれであり、絶対の正解はありません。

あなたの選択の全てに納得があったものが正解です。

注文住宅における膨大な選択肢(抜粋)

つまり、選択の一つ一つに施主の納得感が与えられるよう必要な情報を真剣に提供してくれる相手・・・それが契約すべき相手なのです。

  • 施主の不安を取り除くために、客観的で信用性のある情報を提供する。
  • さまざまな選択肢と、その選択によるメリット・デメリットをていねいに説明し、施主の自己決定を促す。

このような気遣いをとことんまでやり抜けるかどうか・・・。

これは、業者にとってたいへん骨の折れる作業なのですが、この努力をいかにスマートに行えるかがプロの腕の見せ所でもあるわけです。

住宅という「物」を引き渡すという発想ではなく、「住宅に対する満足」を引き渡すという発想・・・そのゴールに向けた「過程」に対し最大限の努力を払う姿勢・・・そうした姿勢がサービス力なのです。

このサービス力があるかないかで住生活に対する満足度・・・つまり人生までもが決まってしまうといっても過言ではないのです。

結局は人・・・サービス力は人間性がものをいう

「物」ではなく「満足」を引き渡すという姿勢で「確認・伝達・説明・記録」といった基本的な段取りを誠実に行うことによって施主の満足が約束されるわけですが、その「満足」を引き渡すという姿勢というのは、、結局のところそれを行う人間性によって決まってしまいます。

社員教育で身につく部分もあるでしょうが、基本的にはその人がもともと持っている人間性が決め手になる面が大きいでしょう。

この目には見えない、契約書にも書かれない、お金にも換算できない人間性によってサービス力の質がきまり、それに応じた満足度になってしまうということなのです。(しかし、支払うお金は変わらない・・・)

現実には、「人間性」を根こそぎ取り去ったような住宅を引き渡されても契約の履行が完了してしまうという、契約至上主義の厳しい側面があります。

しかし、そんなギリギリセーフの満足感の低い住宅を提供する業者と契約してしまってはいけないのです。

外観、インテリア、会社のブランドで契約相手を決めてはいけないというのは、そういうことなのです。

「この人なら自分の人生を託してもいい!」と思える人間性を確認できてはじめて、ハンコを押さなければいけません。

サービス力とは、「確認・伝達・説明・記録」の機械的な処理能力の高さで決まるのではなく、それをどういう気持ちで行うのか、つまり「施主が満足するためには何が必要か」を寝ないで考えてくれるような「人間性」で決まるものなのです。

結局は「形」を見るのではなく「人」を見るということなんですね。
ものづくりは「人」で決まるのです。

契約履行能力とは「信用」のバロメーター

なぜ「契約履行能力」なのか

大切なことは、いわゆる業者の「信頼性」「信用性」です。

そう呼ぶ方が印象としてはわかりやすいのですが、単純に「業者の信頼性を見て契約しましょう」といった一言では、アドバイスとしての効力に欠けます。

「信頼性」「信用性」が大切と言っても、忙しい家づくりのスケジュールの中では、なんとなくそれがスルーされてしまい、工事請負契約に対する危険認識が薄いまま重大な契約をしてしまうことを防ぐ力にならないのです。

契約履行能力工事能力+サービス力

あえて、業者の「契約履行能力」と称し、それを細分化し、複数のページで説明する意味は、この指標を見える化・具体化し、みなさんの意識の中に強力なリスク予防アンテナを張ってもらうためです。

そうすることで、業者の段取り力やそれを行う人間性、つまりサービス力によって培われる「信用」を見抜く意識が自然と働き、価値の本質に気付いてもらい、あなたが何に対してお金を支払うのかを明確にしてもらえるからです。

引渡しを受けるべき住宅とはどういう住宅か

今一度、契約前にあなたが取得したい住宅とは何かを見つめてみてください。

「インテリアの素敵な住宅」と答える方は要注意です。

引き渡してもらうべき住宅とは「納得・満足」が付与された住宅

あなたが引渡しを受けるべき住宅とは「納得・満足のいく住宅」です。

あたりまえといえばあたりまえですね。
しかし、現実には納得できないから代金を払わないということはできません。

重要なのでもう一度いいます。

納得できないから代金を払わないということはできません。

この事実があいまいなまま契約する方が非常に多いのです。
納得がいかなくても支払い義務は免れない・・・この重要な事実を理解してから家づくりを始めなければいけないのです。

そうすれば、契約前にすべきことが見えてきますよね。

とりあえず仮契約・・・など、言語道断です。

では、満足いく住宅を手に入れるにはどうすればよいのか?

前述のように、満足の質は人間性をベースとした業者のサービス力が決め手となります。

このサービス力と工事能力を合わせた契約履行能力全体を見ることが、納得いく住宅を引き渡してくれる相手かどうかを見極める重要な指標になります。

つまり、事前(契約前)に契約履行能力を見ようと意識するかしないかが、満足いく住宅を手に入れられるかどうかの分水嶺になるのです。

あなたは何に対してお金を支払うのか

契約の形式上、住宅という物との交換費用として支払いを行うことになりますが、人間の内面では相手の「信用」に対してお金を支払っているという意識が作用します。

「あなたを信用します。あなただったら自分を満足させてくれるだろう。だから、これだけのお金を払います。」
心の中で、こうした決断を踏むことで、選択に対する正当性と、自己決定による達成感が生まれます。
また、万が一不具合が生じても自分が信じた相手だからやむを得ないといった納得感も得やすくなるでしょう。

これが相手が「信用」のおけない人間であったらどうでしょう。
「要望を伝えてもやってくれないし、応えてもくれない。しかも問いただすと開き直りの態度・・・全く満足できないので、契約を無効にし、代金も一切支払いたくない。」という気持ちになります。
しかし、契約違反がなければ支払い義務は免れない・・・。

同じ住宅であっても、「信用」がないというだけで支払価値が根底から損なわれるような印象を受けてしまいます。
当然、「信用」が付されない住宅に支払い価値を認めることは難しく感じるでしょう。

人は、「物」に対してお金を払いたいのではないのです。
「信用」に対してお金を払いたいのです。

契約履行能力が「信用」価値を決める

確かな技術力に裏付けられた正確・妥当な工事能力、そして、施主の満足を最優先する姿勢で丁寧に説明や段取りを行うといったサービス力・・・この契約履行能力が相手にしっかり備わっていると確認できた時に湧き上がる安心感・・・それが「信用」です。

そしてその「信用」に対して支払い価値を認めるのです。

つまり、契約履行能力とは「信用」のバロメーターであり、支払い価値そのものなのです。

まだ見ぬマイホームが期待通りにでき上がるかどうかも分からない時点で何千万円も支払うことを約束するという恐怖の決断・・・それが工事請負契約です。

確実に「信用」のおける相手としか契約してはいけないのです。

「信用」さえあれば完璧というわけではありませんが、しかしこれだけは言えます。

「信用がなければ何も始まらない。」

何を取り繕おうと、この信用がなければすべてが瓦解します。

あらためて、このようなことをしっかり意識していただいた上で、「信用」価値を決める契約履行能力を確認することの重要性を、さらに具体的に見ていきます。

そのために、次は、契約履行能力における実態上の問題点、それがないとどのような不幸が待ち構えているのかについてみていきましょう。

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ナオミ1

「信用」を見分けるのって、とっても難しいような気がするのですが・・・。

けん

そのとおりです。
信用が成り立っての商売ですから、みんな信用できそうにみえますよね・・・。
でも、単純に考えてください。

会社としての目標は契約をとることにありますが、関わるのは生身の人間です。
そして、人間には「個性」という大きな違いがあります。

その人がプロとして目指す人生のゴールの位置も人それぞれなのです。
そこを見分けるということです。

ナオミ1

人生のゴールですか・・・。
余計にわからなくなりそうです。

けん

わかりやすく例をあげましょう。
たとえば、がん治療に例えると、次のどちらの医者がいいですかということです。

A:がんの摘出しか方法はないと淡々と専門用語で話を進め、患者の疑問に耳を傾けてくれない医者

B:他の治療法とその影響を説明し、納得して治療が受けられるよう患者の疑問にていねいに答え、術後の患者の人生そのものにとって最適な治療法を真剣に考えてくれる医者

ナオミ1

もちろん、自分の生涯を考えてくれるBの医者がいいに決まってます。

けん

そうですね。
実は、住宅業者もこれに通じるものがあるのです。

つまり、契約を取るために一生懸命なのか、あなたの住生活を良くしようと一生懸命なのかを見分けることが大切なのです。
業者の本音は契約を取ることにあり、素人にていねいに説明するというのは、実はとても骨が折れます。

さんざんていねいに説明して、最後に他の会社にお客さんをとられては本末転倒ですから、業者の説明というのは、どうしても契約というゴールに向けて誘導というか偏りが生じがちです。

しかし、そういった合理性を度外視して、お客さんの人生に向き合って本当に大切なことを説明してくれる人が本物なのです。

ナオミ2

なるほど・・・。
プロ意識の違いってことですね。
売上第一か、お客さんに喜んでもらうのが使命か・・・。

けん

住宅という「物」を引き渡そうとする相手ではなく、「施主の満足いく住生活」を提供しようと考える業者(人)を見分ける・・・それが契約履行能力(信用力)を見分けるということなのです。

ナオミ1

わかりました・・・。
でもとっても時間がかかりそう・・・。

けん

確かに短期間で住宅メーカーの契約履行能力(信用力)を見極めるのは難しい面があります。

しかし、それでもです。

それでも、相手の「契約履行能力」を見極めることに、全エネルギーを集中させてほしいのです。
それでは次に、そのための基礎となるハウスメーカーに共通するリスクについて学んでいただきます。

次回 優良な業者でも必ずついてまわるリスク

どんなに評判の良いハウスメーカでも、あたりまえと思っていることがやってもらえないことがあります。なぜそのような事態になるのか・・・それを知ることが、契約履行能力を見分けるベースになってきます。

次回のテーマ
「評判のよいハウスメーカーでも安心できない業界の不都合な事実」


このページは、ハウスメーカー選びのポイントをより深く理解いただけるよう、契約履行能力ということを中心に、要点ごとに解説したページの一部になります。
適宜以下のページも参考にしてください。

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  1. ハウスメーカー・工務店選びの重要ポイント|工事監理・施工一式型の業者選びで大切なこと
  2. 信頼できるハウスメーカーとは?業者の契約履行能力とはなにか?
  3. 評判のよいハウスメーカーでも安心できない業界の不都合な事実
  4. 信頼性の低いハウスメーカーと契約したときの悲劇-契約履行能力確認の限界(工事中)
  5. こんなハウスメーカーは注意!―業者の契約履行能力をチェックする方法(工事中)

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