ハウスメーカーの全てに共通するリスクとは

前のページ(信頼できるハウスメーカーとは?)で、住宅メーカーの能力(契約履行能力)のレベルが、施主の満足度を大きく左右すること、そして、それが外観やインテリアよりもずっと大切であることを説明しました。

しかし、ここでは、仮にそのような能力の高い相手を見つけたとしても、注文住宅の契約に必ず潜んでいる不都合な事実・・・これについてお伝えしたいと思います。

その不都合な事実とは、
ハウスメーカーの施工能力施主の満足感の獲得には絶対の保証がつけられないという問題です。

そして、これは評判がいいとか、大手ハウスメーカーであるかどうかに関係がありません。

これらのことは、本来なら絶対に保証してもらいたい極めて重要なことですが、それが確実に得られる保証がないとはいったいどういうことでしょうか。

こうした社名に関係なく起こりうるリスク・・・そして、とりうる対応策についても具体的にお伝えしたいと思います。

それにより、相手の契約履行能力を確認することの重要性がさらに明確になり、あなたの不満や後悔を大きく減らすことにつながっていくでしょう。

■契約履行能力とは
ここでいう契約履行能力とは「満足の提供とともに確かな住宅を引き渡す総合的な力」をいいます。具体的には、工事請負人としての義務を着実に果たす工事能力(技術力)と、契約に込められた施主の期待を100%実現するための丁寧な説明や確認・調整といったサービス力(信用力)をあわせたものをいいます。

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なぜ評判がよいだけでは安心できないのか

なぜハウスメーカーの評判だけでは安心できないのか・・・端的にいうと、評判の良否に関係なく、

施主にとっての当たり前が実行されないリスクがあるからです。

そのリスクを具体的に挙げてみましょう。

このようなリスクは工事の品質や施主の満足感の達成を脅かすもので、施主にとっては容認できません。
大金を支払うのですから・・・。

「いや、そのようなことが起こらないような制度になっているはずだ・・・そして、そんな危険な相手とは契約しない・・・」

こう思いたいところですが、どんな契約相手でもこのリスクから逃れることはできません。

そうした施主にとっての当り前が崩れてしまう可能性をこれから見ていきますが、これは注文住宅における宿命的な問題であり、工事請負契約における約束の限界でもあるのです。

もちろん、こうした問題が起きやすいかどうかは業者の能力によっても差があるところなので、相手の契約履行能力を見極めるのが大切であることに変わりはありません。

では、そのリスクとは具体的にどういうものか、ここでは、上記に挙げた3点について要約的に説明します。
(より詳しくは、各詳細ページで説明します。)

1.閉塞部分(見えなくなる部分)の工事が手抜きされるリスク

まず一つ目は、閉塞部分で、あたりまえの工事が適切に行われない可能性があるという問題です。

「あたりまえなのだから、もしやっていなければやり直せばいい」

単純に考えるとこういうことなのですが、建物が出来上がってしまうと、なかなか一からやり直すということが難しいのが現実です。
そして、やり直したとしてもその直し方に納得がいかない場合もあるでしょう。

しかし、それよりももっと怖いことがあります・・・それは、

きちんとやってないことすらわからないケースです。

図面通り工事をやってないことが見てわかれば「きちんとやって」と言えるのですが、そのこと自体がわからなければ指摘のしようもないということなのです。

不適切工事があることを施主が知らないまま引き渡される・・・このリスクが一番怖いといえるでしょう。

例えば、以下のような事例をご覧ください。

閉塞部分の不適切な施工事例

筋かい金物がホールダウン金物と干渉し、適切な位置に設置されていないケース

閉塞部分の不適切な施工事例 筋かい金物の所定の穴にビスが打たれていない

このような位置に筋かい金物を設置してはいけない!

筋かいの固定強度の不足および筋かいの断面欠損により、設計上想定する耐震性を発揮できない。

必要なものは設置されているものの、その設置方法に問題があるケースです。

このようなクオリティーの低い工事をされたのではたまったものではないのですが、ハウスメーカーの現場担当者(工事監督)や下請け業者(職人)といったプロでも、これをしっかりわかっている人とそうでない人のバラツキがあるのが現状です。

一応、正しい施工を載せておきます。

適切な施工例

長手のアンカーボルト、または、延長ボルトを使用するなどしてホールダウン金物の位置を調整し、筋かい金物との干渉を避ける

筋かい金物の適切な施工例 定められたビスの種類・本数・穴の位置を守り留め付けなければいけない。

金物同士が干渉する場合は、それぞれが適切範囲内に納まるよう設置位置を調整する必要があります。
なお、金物はその接合部に必要とされる耐力を確保できるものとして性能試験を受けたものを用いる必要があり、その施工マニュアルに沿って工事をしなければいけません。

これはほんの一例にすぎず、挙げだすときりがありません。

このように、最終的に見えなくなる部分(閉塞部分)では、工事のあたりまえが失われやすいということを覚えておきましょう。

なぜ見えなくなる部分で不良施工が起きるのか

なぜ、最終的に見えなくなってしまう部分でそうした不良施工がおきるのか・・・その要因を列挙してみます。

閉塞部での不良施工の発生要因

  • 「どうせやらなくてもわからない・・・」という心理が閉塞部分に生じやすい
  • コスト削減要請が強ければ強いほど、閉塞部分での手抜きが行われやすい
  • ハウスメーカーの現場担当者や下請け業者の技術力(工事の作法・良識、熟練度、設計図面に直接書かれていない仕様基準の理解度)の程度に工事品質が大きく左右される
  • その技術力がある一定レベルに到達している必要がなく、取得資格の義務もないため、個人によってバラツキが大きい

下請け業者のやる気ダウンがさらにリスクを高める

ハウスメーカーは、普段から一定の技術力を有することがわかっている協力会社の中から下請け業者を選抜し、一つの現場に配置します。

当然、協力会社によって技術力やモラルの差がありますし、職人の入れ替わりなどもあります。
また、時の事情によっては、能力のよくわからない下請け会社を寄せ集めなければならないこともあります。

そこに、コストダウン要求や無理な変更要求など、さまざまな圧力が加われば、士気やモラルがさらに低下します。

「一生懸命に心を込めてやっても、手を抜いてやっても、もらえるお金は同じ・・・さらに不当な値引き要求とあっては、まじめにやるのがバカらしい・・・。どうせ見えなくなるし・・・。」

こうなるのが下請け業者の本音です・・・丁寧な仕事は、もうけと常に相反するのです。

そしてその下請け業者やそれを監督するハウスメーカーの現場担当者を施主が選べないリスク・・・これこそが施主にとってのあたりまえを失わせる要因なのです。

どんなに評判の良いハウスメーカーでも、あなたの現場に配置されるそうしたプロスタッフの技術力やモラルがたまたま低ければ、評判の良さなどほとんど意味がないということなのです。


ナオミ1

あわわわ・・・
不適切工事があるのに隠されて引き渡されるなんて・・・それじゃ、詐欺じゃないですか。

けん

詐欺だ!と言いたくなる時・・・それはすでに何年も経過し不具合が発生したときなんです。もう遅いんです。

ナオミ1

ううっ! 下請け業者を選べないのなら、じゃあどうすれば・・・現場検査を徹底すればいいんですか?

けん

もちろん、検査を徹底するのが効果的なのですが、それが徹底できるかどうかが問題なのです。

ナオミ1

ん?徹底できるかどうかが問題?

けん

それでは、次に検査に潜むリスクについて見てみましょう。

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2.住宅の検査は施主が思ってるほどしっかりチェックされていない

二つ目は、住宅の検査における施主にとってのあたりまえ・・・その実効性が崩れるリスクについて見てみます。

①自社検査は施主の立場に立つ検査が期待できない

自社検査の限界

上記写真のようなことが起こり得ないよう、工事の段取り調整、現場への指導徹底、出来上がりのチェックをしっかり行うのがハウスメーカーの現場担当者(工事監督)の務めです・・・それが施主にとっての当たり前。

しかし、技量不足、現場の掛け持ちなどで十分な監督業務が果たせず、とりあえず第三者機関の検査に通ればいいという目的が先行し、品質を無視した下請けまかせの現場運営となるリスクがあります。

現場担当者には監督という立場もありながら、工事を効率よく進めなければいけないという立場もあり、結局これが優先し、手前味噌の検査になってしまうのです。

そして、施主にとっては、こうしたハウスメーカーの事情をコントロールできないため、「相手への依存」というリスクを消せないのです。

最強のチェックマンである工事監理者は骨抜き

一方、上記のような現場担当者とは別に、もう一つ現場をチェックする重要な立場があります。
それは、工事監理者という法律上の立場で、建築士の資格をもつ者が工事監理者として必ず工事をチェックしなければならない決まりになっています。

■工事監理者とは
工事監理者とは、以下の工事監理を行う者をいい、原則として()建築士(一級・二級建築士など)の資格保有者である必要があります。
施主は、自分の住宅を建てるときは、原則として()この工事監理者を選任しなければいけません。(建築基準法第5条の4)
)階数2以下かつ100㎡以下の木造建築物などは除く

■工事監理
工事監理とは、その者の責任において図面と工事を照合し、図面通りできているかどうかを確認することをいいます。
また、工事監理を行う際は以下のような重要な業務も合わせて行うことが法律により定められています。(建築士法第18条、第20条)

  • 工事施工者が図面通りに行わなければ注意を与える
  • 注意に従わない場合は施主に報告する
  • 工事監理が終了したら結果を文書で施主に報告する

「なるほど、法的な立場で現場が二重チェックされるのはいいことだ・・・しかも第三者的な役割がある」・・・と思うのが施主にとっての当り前の感情でしょう。

しかし、ちょっと待ってください。
一般に工事監理者の役目はハウスメーカー社員が行うのです。
そして、上記でいう工事施工者はもちろんハウスメーカーです。

つまりハウスメーカー社員(工事監理者)ハウスメーカー現場担当者(工事施工者)に対し注意を与えるという構図なのです。
場合によっては建築士の資格さえあれば、現場担当者が工事監理者を兼任することも多いのが現実です。

つまり、自分に対して注意を与えているようなものなんです。
どこの世界に、自分(自社)のやってる工事に、客観的に自分で注意を与える人がいるのでしょうか?

結局のところ、この法制度は工事施工者とは異なる外部の会社に属する建築士を工事監理者に選任することではじめて、施主にとっての最強のチェックマンになりえるのです。

しかし、そんなことを知らされない施主は、当然ハウスメーカーに全てをお任せしますので、工事監理者も自動的に決まってしまうわけです。

ハウスメーカーのような監理・施工一式型の業者に発注するということは、この最強の制度を生かし切れない・・・最初から依存リスクを背負った契約形態であるということを知っておく必要があるのです。

ハウスメーカーを選択するときの心得

ただし、監理と施工を一社が行うことも含め、生産工程におけるあらゆる合理化がハウスメーカーの強みでもあり、工期の短縮やコストの削減、施主の負担軽減という形で、その恩恵を受けられるわけです。

実際のところ、ほとんど施主が迷う必要なく、ほぼお任せで全自動で家づくりが進むようになっているため、日本の多くの住宅がこのハウスメーカー方式で供給されています。
そもそも国家資格である建築士が工事監理に関与すれば法律上の目的は達せられるので、そこに客観性・第三者性が期待できないとしても法的には問題がありません。

しかし、そうした合理化のメリットが大きいハウスメーカーを選択するときに大切なことは、同時に失っているものがあることを理解していることです。

つまり、「第三者性」「合理化」というトレードオフ(※)の関係にある2つの内から、施主が自らの責任で「合理化」のメリットを選択し、工事監理の「第三者性」を捨てる決断をしたということをわかっていなければいけないのです。

(※)トレードオフ:一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状態

②第三者機関による検査の盲点

ハウスメーカーの自主検査に施主の利益代行者的なチェックが期待できない以上、期待がかかるのは利害関係のない第三者機関による検査です。
しかし、これにも万全性に欠ける盲点があります。

中間検査を受ける必要がないケースがあるという事実

不適切工事を防止するために重要な中間検査は、主に、住宅瑕疵担保責任保険の検査建築基準法に基づく検査の2つがあります。

しかし、以下のようにこの検査を受ける必要がない場合があるのです。


■住宅瑕疵担保責任保険の検査
・住宅瑕疵担保責任保険に加入するハウスメーカーの場合はこの保険法人による基礎と軸組(柱や梁)の2回の構造検査を受ける必要がありますが、この保険に入らずに欠陥発生時の損害補償金を別途積立ているハウスメーカーの場合は、こうした検査の必要がありません。
■建築基準法に基づく検査
・行政または指定確認検査機関が行う建築基準法に基づく中間検査は、軸組完成時に1回行われるのが一般的ですが、これは、住宅を建てる地域の自治体が中間検査を受けるべき工程を指定した時のみ検査を受ける必要があるため、指定されていない行政区域であれば中間検査を受ける必要はありません


つまり、契約相手のハウスメーカーや、建てる地域によっては、中間検査を全く受ける必要がないケースがあるということを知っておく必要があるのです。

第三者機関による検査はスポット検査

上記の住宅瑕疵担保責任保険法人や行政機関による中間検査は、内部が隠れる直前の工程で、構造上重要な鉄筋や接合部の金物、耐震部材などが図面通り適切に設置されているかどうかがチェックされます。

しかし、第三者目線でこれをチェックしてくれるのはいいのですが、いずれも図面との照合を目的とした短時間の目視検査であるため、その「適切性」のチェックには限界が生じます。

つまり、例えば図面通りの部材がついているかどうかはチェックできるが、その留めつけがしっかりされているかどうか(ボルトがしっかりしまっているかなど)までは、全数にわたりくまなくチェックしきれないということです。

ではどうするかというと、現場担当者に聞き取りをしたり、施工報告書などで「接合部の留め付け確認を行った」などの記載があるかをチェックするといった、合理的な方法により行われるのです。
また、検査員が帰った後に行われる工事が雑に行われた結果、適切性が損なわれるケースもあります。

結局は、どこまで行っても、その工事の最終的な適切性確保はハウスメーカーの現場担当者にゆだねられることになり、自主チェックの領域を完全に出ることができないのです。

3.施主の満足が契約で約束できない現実

三つめは、ハウスメーカーからのサービス力の提供や施主の満足を契約で義務化できないという問題です。

かんたんにいうと、「満足いかない住宅ならお金は払いたくない」ということが言えるのか?という問題です。
これも、言いたいけど難しいのが現実です。

「施主の満足と引換に代金を支払う」とは契約書に書けないのです。
そして満足するかどうかは相手次第という厳しい現実があります。

担当者が誠実で、説明もていねいで分かりやすい信頼できる人間だと感じたとしても、契約後も変わらぬ対応をしてくれるかどうかは、契約後にしかわからないのです。
契約後に態度が変わる担当者は少なくありません。

しかし、ハンコをついた時点であなたには支払い義務が生じるのです。
言った言わないの泥仕合の末、「うちとしては契約通り、図面通りやっている。」という伝家の宝刀を常に隠し持っているということを忘れてはいけません。

このリスクはやはり心してかからねばいけないといえるでしょう。


ナオミ1

満足の提供はハウスメーカーの義務では?

けん

満足の提供は、企業の存在価値からすると当然の使命といえるでしょう。しかし、だからといって契約約款にその義務を明記できないのです。

ナオミ1

なぜ、明記できないんでしょうか?満足いかなければ代金は払いたくありません。

けん

満足という指標は主観的感情に基づいたものです。その施主の気分一つで代金が払われないことになれば経済活動が成り立ちません。

ナオミ1

確かにそういわれると・・・。

けん

そのようなことにならないよう、契約に記載する金銭との交換対象は、施主の希望に基づいて、全て客観的に計測・識別できる品名・数値情報に置き換える必要があるのです。
そしてその契約義務を履行した結果、施主の満足が果たされるであろうという前提になっているのです。


ナオミ1

以上、3つのリスクについてわかりました。
ところで、これらのリスクに具体的にどう対応すればいいのでしょうか?
自分で現場に何度も通ってチェックすればいいのでしょうか?

けん

いいえ、全く違います。
上記のような不良施工はプロにしか見抜けませんし、素人の方が現地であれこれ質問しても煙たがられるだけです。

ナオミ1

では、どうすれば・・・。

けん

このリスクを知るだけでいいんです。
それだけで、業者選定眼が鋭くなります。
つまり、あなたの目線が変わり、質問が変わり、契約前に確認しておくべきことがしっかり確認できるようになるということです。
後に示す、対応策も頭に入れておくとなお良いでしょう。

ナオミ2

なるほど、言いくるめられていないか、説明に納得いく根拠があるかどうかが見抜けるようになるということですね。

けん

工事請負契約は一度締結すると後戻りできません。こうしたリスクをあらかじめ知っておくことは、極めて重要な意味があるのです。
それでは、具体的なリスク予防法について見てみましょう。

リスク予防法

以上のリスクを踏まえ、施主がとりうる対応策について考えてみます。

遭遇する確率は低いかもしれませんが、こうしたリスクが原因で、大きなトラブルや後悔に至ることがあります。
どんな優秀なハウスメーカーも数の違いはあれど、施主とのトラブルは抱えているものです。

それがあなたに降りかからないよう以下の対応法を頭に入れ、しっかりと防御しましょう。

最も優れた対応策はあるのですが・・

各リスクに対応する方法として、最も優れた効果が期待できるのが、施工業者とは別会社の工事監理者を選任し、施主の利益代行者として現場を監視し、また、施工業者との間に入ってもらいながら調整・協議・契約の履行を進める方法です。
しかし、ここでは、そうした方法を前提としないハウスメーカーなどの監理・施工一式型の相手である場合を想定した対応策になります。

1.閉塞部分(見えなくなる部分)の工事が手抜きされるリスクへの対応法

①誰が工事するかが見えるかどうかをチェックする

どのような下請け業者や職人さんが当たるかわからない・・・というのではなく、しっかりとしたプロ意識の高い職人さんにしか仕事をさせないというハウスメーカーとしての責任感があるかどうかを、口先ではなく、腹で感じられるかどうかチェックしましょう。

例えば、あなたの現場を担当するのはこの人たちですと、その人たちの仕事ぶりや態度、現場の整理整頓状況を見せてくれるのか、あるいは理由をつけて断ってくるのかで、口先だけかどうかが見えてきます。

②構造見学をさせてくれるかチェック

建築中の現場を積極的に見せる会社は、一定の自信を持っている証拠です。
「構造が一番大事だ」ということをポリシーとして掲げてるくらいの会社を選びたいものです。

現場をあまり見られたくない雰囲気を出す会社は注意です。
できれば知り合いの建築に詳しい人に同伴してもらって見学するとよいでしょう。

■工場生産住宅という選択肢

住宅の8割近くを工場で生産し、現地で組み立てるという工法があります。
こうしたハウスメーカーは、施工品質を徹底的に管理していますので、上記に記載のような、職人さんの違いによる施工精度のバラツキというのはほとんどありません。
全くトラブルがないということではありませんが、また、メーカーに対する好みや価格面での折り合いもあるでしょうが、不適切施工発生リスクをなくしたい方にとっては、選択肢の一つになり得るでしょう。


ナオミ1

大切なのは見た目よりも中身を大切にする会社なんですね・・・

けん

本当にいい家というのは、見た目の華やかさとは関係なく、見えない部分の工事施工がいかに丁寧に行われるかで決まり、10年、20年後にその効き目がわかります。

ナオミ1

10年経たないとわからないんですか・・・

けん

一つの不適切な施工が直ちに危険とはならなくても、それらが積み重なると負の連鎖を招き、思わぬ不具合(傾き、振動、スキマ、雨漏り、冷気、湿気、結露、カビ、害虫・・・)に至ります。
そして、それらは時間差で発生するんです。

2.施主が思ってるほどしっかり検査されていないリスクへの対応法

①中間検査が行われるかどうかをチェック

前述のように全く第三者機関による中間検査を受ける必要がないケースもありますので、これが行われるのかどうかを確認しましょう。
ハウスメーカーに直接聞けば分かります。

②住宅性能保証制度を活用する

中間検査を全く受けないとわかった場合、あるいは受けるとしても不安があるという場合は、住宅性能表示制度を利用し、客観的な評価を受けるのも一つの方法です。

■住宅性能表示証制度とは

住宅性能表示証制度とは、住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、劣化対策等)を全国共通のものさし(表示の方法、評価の方法の基準)で表示し、消費者による住宅の性能の相互比較を可能にする制度です。
施主が求める住宅性能が確保されているかどうかの評価は大臣指定の第三者機関が客観的に設計・工事をチェック(現場検査は全4回)するので、評価結果の信頼性が確保されます。
法律(※)上、住宅性能評価書の交付を受けるとそこに表示された住宅の性能を有する建設工事を行うことを契約したものとみなされるため、あいまいにされることもある住宅の基本性能を明確な合意事項にできるメリットがあります。

住宅性能表示制度とは(一社 住宅性能評価・表示協会)

住宅性能表示制度における性能評価の現場検査(登録住宅性能評価機関 一財ベターリビング)

(※)品確法 第6条(住宅性能評価書等と契約内容)
住宅の建設工事の請負人は、設計された住宅に係る住宅性能評価書(以下「設計住宅性能評価書」という。)もしくはその写しを請負契約書に添付し、または注文者に対し設計住宅性能評価書もしくはその写しを交付した場合においては、当該設計住宅性能評価書またはその写しに表示された性能を有する住宅の建設工事を行うことを契約したものとみなす

3.施主の満足が契約で約束されないリスクへの対応法

施主の満足とは、思い描いている内容と出来上がりが完全に一致した時にはじめて感じられるものです。
「えーっこんな感じなの??」住宅建築とはこんなことだらけです。

このリスクを限りなく0にするために2つの点を心がけましょう。

①担当者の姿勢を見る

  • 説明内容の信ぴょう性(専門的にみて正しいことを言っているか)
  • 指示の対応スピードと確実性
  • 人間としての誠実性

質問に対する答えが、契約に結び付けるための説明ではなく、施主の将来を考えた説明・提案であるかを見極めましょう。

「いえ、打ち合わせ記録にもあるように説明済みです・・・」

ハウスメーカーの普段の流儀を押しつけられてはたまったものではありません。
施主は皆、それぞれ個性が異なるのです。

施主の理解度や納得度を丁寧に感じ取り、それに合わせて説明に濃淡をつけ、施主の納得を最優先する姿勢のある人かどうかを確認しましょう。

②自分が絶対に実現したい内容について完成イメージをあらかじめ徹底的に確認する

仕上げ感、色合い、寸法、開き勝手・・・
きっとこんな感じになるだろうと相手に任せきっていると、「いやー、それはないでしょう。」という出来上がりになったりします。

  • ここの色はモデルハウスと同じって言ったはずじゃ・・・
  • 玄関が暗すぎる・・・
  • 据付け家具の扉を開いたら角に頭をぶつける
  • 自分で置きたい家具があるので窓の位置を調整してもらったが、コンセントがその家具に隠れている・・・

あなたの頭の中のイメージはあなたにしかわからないですし、「言わなくても分かるでしょう・・・」ということもよく起こりえます。

信頼できる相手だったとしても、たった一言の確認漏れが、思わぬ意志疎通トラブルに発展し、それまで満足していた内容にあるときから突然不快感が湧き、著しく満足感を損ねる事態に陥ります。

「ここの明るさってどういう感じになるの?」
「設備のリモコンスイッチはどの位置につくの?」

このような質問を口癖にして、そうした事態を回避しましょう。


ナオミ2

何でもかんでも聞きまくります!

けん

要点をついて質問することが大切ですね。(^_^;)
でも、それくらいの勢いがある方がいいでしょう。
その自己責任感が、質問の質を鋭くし、相手の信頼性を見抜く力を向上させます。

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まとめ

ハウスメーカーの評判に関係なく、不適切な工事が起こる可能性があること、また、満足感を得られる保証に絶対がないことがお分かりいただけたと思います。
工事におけるあたりまえは、プロとしての作法やサービス力といったあいまいなものに左右されるにもかかわらず、その依存リスクを施主が完全に排除できないという現実。

「きちんとやってくれるだろう」ではなく、なされない可能性があることを知る・・・これがなによりも大切なことといえるでしょう。
とても対応が良く、知人の評判もいいハウスメーカーだったのに、ある時を境に、鬼のような会社に見えてくるものなのです。

もし、評判を見るなら、

  • 10年たってもいい家だと感じられるかどうか
  • 見えない構造について優れた技術と姿勢があるか
  • 将来にわたるデメリットやメンテナンス情報などが丁寧でわかりやすいか

こうした視点での評価であるかどうかを見るようにしましょう。


ナオミ1

あたりまえと思っていることが、意外と危ういということがわかりました。

けん

施主にとっては「当然」と思っているものが実は当然ではない・・・それがハウスメーカーの評判に関係なく起こり得るのです。

ナオミ1

ほとんどの方は、このことを知らないのでは?

けん

そのとおりです。そんなことよりも、価格・外観・内観に目が行くものです。
上記のようなリスクは、誰も丁寧に教えてくれません。

ナオミ2

このリスクを知っておいて本当に良かったです。

けん

この危機意識があれば、住宅建築の生産過程が良く見え、施主の立ち位置やチェックの実態、契約当事者相互の合意事項も明確になります。
つまり、何がなされ、何がなされないのかが見えてくるということです。
それが、おまかせ体質からの脱却につながり、納得いく家づくり成功への基礎土台となるのです。

次回 契約したら最後という現実

契約後に契約相手の対応の改善を期待することは事実上困難です。施主が唯一しなければいけないことは、契約履行能力の高い相手を最初に「選択」する・・・それだけなのです。

次回のテーマ
「信頼性の低いハウスメーカーと契約したときの悲劇(工事中)」


このページは、ハウスメーカー選びのポイントをより深く理解いただけるよう、契約履行能力ということを中心に、要点ごとに解説したページの一部になります。
適宜以下のページも参考にしてください。

関連ハウスメーカー・工務店選びのポイント 解説ページ一覧

  1. ハウスメーカー・工務店選びの重要ポイント|工事監理・施工一式型の業者選びで大切なこと
  2. 信頼できるハウスメーカーとは?業者の契約履行能力とはなにか?
  3. 評判のよいハウスメーカーでも安心できない業界の不都合な事実
  4. 信頼性の低いハウスメーカーと契約したときの悲劇-契約履行能力確認の限界(工事中)
  5. こんなハウスメーカーは注意!―業者の契約履行能力をチェックする方法(工事中)

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