街区の角地にある敷地だけではなく、公園や河川など空地に接する場合も建ぺい率の角地緩和が受けられると聞いたのですが?

街区の角にある敷地に準ずる敷地として、自治体が指定している場合、公園や河川などに接していれば建ぺい率の緩和が受けられる場合があります。

公園・河川による角地緩和

建築基準法53条第3項では、建ぺい率の緩和規定が定められています。緩和には2つの規定があり、そのうちの一つで最もポピュラーなのが、通称「角地緩和」です。

建築士や不動産関係者であれば、誰もが知っている建ぺい率の緩和規定ですが、角地緩和対象であるのに、プロでもそれに気づかないままというケースが稀にあります。

許容建ぺい率が10%加算されるこの規定は、建築できる建物規模を左右するため、必ず把握しておくことが大切です。

通常の角地緩和

通称「角地緩和」という名のとおり、道路の交差点に隣接するコーナーの敷地がその対象となるのが一般的です。ただし、街区の角にあるというだけで緩和されるわけではありません。

接する道路の幅、接道長さ、道路の角度など、各自治体が定める条件に合致する場合のみ、許容建ぺい率が10%加算されます。

通常の角地緩和のイメージ

角地緩和

角地緩和が受けられるのに、気付かないケース

角地緩和の条件は地方によりまちまち、プロでも気付かないケースも・・・

角地緩和を受けられるかどうかは、各地方自治体が定める条件に合致するかどうかで決まります。各自治体が定める建築基準法に基づく施行細則などで決められているのが一般的です。

この各自治体が定める条件が、地方によりまちまちなのですが、施行細則の条文が難解なケースもあり、一般の人には理解が難しいところです。しかも、業界関係者でも角地緩和の適用敷地であることに気づかないままというケースもあります。

建ぺい率ぎりぎりまで建築しないケースなら問題もありませんが、本来はもっと大きく建てたかったというなら、重大な機会損失になる可能性もあります。

また、手続きを無視し、プレハブ製の車庫を増築した後、隣人から建ぺい率違反を役所に通報されトラブルとなったが、実はよく調べると角地緩和対象であることが後でわかり、難を逃れたというケースもあります。

許容建ぺい率は重要な不動産情報です。取引時点で角地緩和の有無を正確に確認しましょう。正確な判断は、対象の敷地を管轄する自治体の建築指導課に確認するのが確実です。

条件や判断は自治体により様々ですが、考え方では共通する部分が多くあります。概ね共通すると考えられるケースを以下に紹介しますので、あらかじめ頭に入れておくとよいでしょう。

角地ではないが、2本の道路に挟まれることで緩和が受けられるケース

2つの道路に挟まれる場合の建ぺい率緩和

このように街区の角だけではなく、2以上の道路に挟まれる場合も緩和対象となるのが一般的です。

角地でもなく2本の道路に挟まれてもいないが、公園に接していたことで緩和が受けられるケース

道路と公園の角地で建ぺい率緩和

上図のように、敷地が街区の角地にあるわけではなく、2つの道路に挟まれているわけでもない場合であっても、隣接する公園等と一体であり、公園の幅が道路幅の条件を満たすときは、通常の角地緩和が受けられる状況と同様の状況にあるとみなされ、緩和を受けられる場合があります。

道路幅員が条件に満たないが、道路の向かい側に公園があったことで角地緩和が受けられたケース

道路と公園の組み合わせで角地緩和

上図のように、道路の幅員が狭く、条件をクリアできない場合であっても、道路の向かい側に隣接する公園等と一体であり、公園の幅を加算して条件を満たすことができる場合は、通常の角地緩和が受けられる状況と同様の状況にあるとみなされ、緩和を受けられる場合があります。

道路幅員が条件に満たないが、川があったことで緩和が受けられたケース

道路と川の組み合わせで角地緩和

上図のように、道路の幅員が狭く、条件をクリアできない場合であっても、道路の向かい側に隣接する川や水路等と一体であり、川や水路の幅を加算して条件を満たすことができる場合は、通常の角地緩和が受けられる状況と同様の状況にあるとみなされ、緩和を受けられる場合があります。

各自治体が定める角地緩和の条件

建ぺい率緩和のイメージは上図の通りですが、詳細は各地方自治体が定める建築基準法施行細則により定められているのが一般的です。

この細則について、政令指定都市のものを「そういうことか建築基準法」さんのサイトでまとめられていますので、参考に紹介します。