建築士の味方がいるのといない どちらがいいですか?

スポンサーリンク

ここでは、あなたの味方になってくれるアドバイザーに家づくりをサポートしてもらう方法について詳しく説明します。実は特殊な方法ではなく、既存の制度である工事監理をうまく活用することで心強い味方をつけることができます。そして、この重要性についても解説します。


施主が最初に絶対知っておかなければいけないこと

家づくりは、選択の連続です。施主が決断した選択によって何をあきらめたかも同時に決まります。そして、あきらめたものが何であるかを理解しておくことが大切なのですが、中でも絶対に理解しておかなければいけないことがあります。

それは、あなたの味方になってくれるプロのアドバイザーに家づくりをサポートしてもらうことができる権利をあなたが無意識に放棄してしまうおそれがあるということです。

無意識のうちに施主の利益代行者的視点が失われるケースとはどういうものなのか?それがないと施主はどういう覚悟を持たなければいけないのか?そういった、極めて重要なことについての説明になります。

これは、家づくりの中で最も重要なテーマです。必ず、このページをご覧いただいてから家づくりを始めていただきたいと思います。


ナオミ1

プロのアドバイザーとはなんですか?

けん

ここでいうプロのアドバイザーとは施主の味方になってくれる工事監理者のことをいいます。工事監理者とは、かんたんにいうと工事をチェックする建築士のことをいい、一部の例外を除き必ず現場に関与する決まりになっています。

実は、この工事監理者を自分の味方にするかどうかはあなた次第なのです。

ナオミ1

??? ちょっとよくわかりませんが、そもそも工事監理者は消費者の味方になってくれる立場ではないのですか?

けん

それをこれからくわしく説明しますが、このことを知らないばかりに大きな後悔をしてしまう方が、数としては少ないのですが、いらっしゃいます。

なので、興味があまり湧かないかもしれませんが、無理矢理でも理解していただきますので、ついてきてください。


スポンサードリンク

業者さんを選ぶ前にアドバイザーをつけるかどうかを決める

まず、「家づくりの成功は業者選びで決まる・・・」これはあちこちで言いつくされている言葉ですが、この業者さん選びの前に、もっと重要な選択をしなければいけません。

それは、プロのアドバイザーに家づくりをサポートしてもらうかどうかを決めるということです。あなたは、設計、打合せ、工事、工事後のトラブル解決といった家づくりの全般にわたって

  1. 味方になってくれるアドバイザー(建築士)がいる
  2. 味方になってくれるアドバイザー(建築士)がいない

この、どちらがいいでしょうか? 具体的には以下のようなイメージです。

1.アドバイザーがいる
家づくり全般にプロの味方がいる
2.アドバイザーがいない
家づくり全般にプロの味方がいない
ナオミ1

もちろんアドバイザーがいる方がいいに決まっています。

けん

そうですよね・・・施工業者とのやり取りの際に、施主の立場に立って助言をしてくれるプロがいるのは非常に心強いものがあります。

ナオミ1

どうすればアドバイザーをつけられるのですか?

けん

それを分けるのは、どういう立場の工事監理者を選任するかということで決まってきます。

まずは、工事監理制度には大きく2つの方向性(タイプ)があることを知っていただきます。次に、どちらのタイプが自分に向くかをよく考えてみてください。その過程を終えてから業者さんと接点を取っていく。この順序を守っていただきたいのです。

それでは、このことについて、もう少し詳しく説明していきます。

第三者性のある工事監理者があなたのアドバイザー

そもそも、工事監理という制度自体が良くわからないし、素人の自分にいったい何ができるというのか・・・このように思われるのではないでしょうか。

工事監理とはかんたんにいうと、「建築士が図面通り工事がされているかチェックする」業務で、法律で義務づけられた、施主にとってはとても大切な業務といえるものです。しかし、結局、施主がそのことに対してどうアクションをとればいいのかわからないのです。

ですが、まず、わからなくても、とりあえず必ずやっていただきたいことがあります。それは、以下の2つの工事監理のタイプのいずれかを施主が自分で選択してくださいということです。

いつのまにか決まっていた・・・ではなく、必ず自分の意思で決めるというステップが大切です。

1.第三者視点のある工事監理
施工会社とは別会社の建築士は工事チェックに第三者性がある
2.第三者視点のない工事監理
施工会社と同じ会社の建築士は工事チェックに第三者性がない

工事をチェックする工事監理者が施工会社と同じ会社か違う会社か・・・工事監理者は世の中に大きく分けてこの2つのタイプしかありません。そして、この第三者性のある・なしで、アドバイザーとしてサポートを期待できるかどうかが決まることになるのです。第三者性は目には見えませんが、施主にとっては非常に大きな効果を期待できるものなのです。

つまり、アドバイザーという新しい何か特別な資格者に依頼するというものではなく、必ず行う必要のある工事監理という既存の制度を上手に活用することで、あなたにとっての心強い味方に引き寄せることができるということなのです。

■工事監理者とは

工事監理者とは、次の工事監理を行う者をいい、工事規模・用途に応じた資格(一級・二級建築士など)を保有している必要があります。
施主は、自分の住宅を建てるときは、原則として(※)この工事監理者を選任しなければいけません。(建築基準法第5条の6(法令検索-電子政府の総合窓口e-Gov)
(※)階数2以下かつ100㎡以下の木造建築物などは除く

■工事監理とは

工事監理とは、その者の責任において図面と工事を照合し、図面通りできているかどうかを確認することをいいます。(建築士法第2条(法令検索-電子政府の総合窓口e-Gov)
また、工事監理を行う際は以下のような重要な業務も合わせて行うことが法律により定められています。(建築士法第18条、第20条(法令検索-電子政府の総合窓口e-Gov)

  • 工事施工者が図面通りに行わなければ注意を与える
  • 注意に従わない場合は施主に報告する
  • 工事監理が終了したら結果を文書で施主に報告する

参考:
工事監理とは(一社 神奈川県建築士事務所協会)

注! 工事監理者はいつの間にか決まってしまう

あなたは上記の2つの工事監理のタイプ(第三者視点がある場合とない場合)のいずれかを選ばなければいけません。さあ、どちらを選びたいですか?

このように聞かれると、もちろん、1の第三者視点のある工事監理者を選びたいと思うのではないでしょうか。しかしながら、大半の方は2の第三者視点のない工事監理者を選択しているのです。選択しているというより、勝手にそうなっているのですから選択してるという意識すらありません。

そして、この工事監理者のタイプを自分で選んだという意識がない・・・ここに大きな問題があるのです。では、なぜ無意識に決まってしまうのでしょうか?

その理由は、そもそも設計・監理・施工一式を全て自社で行うハウスメーカーや工務店と話をはじめてしまうからなのです。

工事監理者はこのように決まる

工事監理者は法律上、施主が定めることになっています。実務的には、ハウスメーカーなどの場合、その会社にいる建築士が工事監理者としてあらかじめ用意されており、それを義務となっている重要事項説明で施主に了解を取り、契約という流れで決まります。

参考:
四会推奨標準様式「重要事項説明書」について-様式、記載例(一社 日本建築士事務所協会連合会)
戸建て住宅に関わる重要事項説明のチェックポイント(日本建築学会 住まい・まちづくり支援建築会議)
小規模建築物・設計施工一括用 工事請負契約約款(民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会)

設計事務所か、ハウスメーカーかでアドバイザーが決まる

結局のところ、工事監理者をアドバイザーとして心強い味方にできるかどうかは、工事監理と工事施工を行う会社を分けるかどうかに行き着きます。つまり、皆さんもご存じだと思いますが、家づくりの教科書に必ず出てくる以下の2つの発注方式のどちらを選ぶかということなのです。

1.設計事務所(建築家)方式
監理・施工分離方式は施主の立場に立つ中立的な監視役の役割が期待できる

工事監理と施工が分離しているのでチェックの第三者性が高い

この設計事務所方式は、設計事務所が設計と工事監理を行いますので、施工会社(工務店)とは独立した立場にあり、工事監理の第三者性が期待できる発注方式です。つまりこの方式が工事監理者をあなたにとっての心強いアドバイザーにできる方法なのです。

2.ハウスメーカー方式
監理・施工一体方式は施主の立場に立つ中立的な監視役の役割が期待できない

工事監理と施工が一体なのでチェックの第三者性が低い

一方、このハウスメーカー方式は工事監理と施工が同一会社で行われるため、工事監理の第三者性が期待しにくい発注形態です。つまり、アドバイザーとしての役割を期待できません

現実には、多くの方が工事監理・施工一体方式を前提としたハウスメーカー方式の住宅会社と話をしますので、工事監理の第三者性など話題にもなりませんし、両者の方式の大きな違いに気付くこともありません。

結局、こうした方式の会社と話を進めている時点で、第三者視点のない、つまりアドバイザーとしての期待が持てない工事監理が無意識のうちに確定してしまうのです。

ハウスメーカー方式=工事監理の第三者性なし

重要なのでもう一度いいます・・・。ハウスメーカー方式を選択するということは、工事監理の第三者性をあきらめることと同じなのです。つまり、前述のプロのアドバイザーをあきらめることと同じです。

一般の方は、工事監理制度自体が良くわからない上、工事監理・施工一体方式の何がいけないのかすらわからないわけですから、相手に全てをお任せしてしまうのも仕方がありません。しかし、このようにその大きな違いを知らないまま、流れで契約してしまったことが後で大きな後悔につながるのです。

どのハウスメーカーにするかよりも先に発注方式を決める!

繰り返しになりますが、数あるハウスメーカーの中からどの会社を選ぶかよりも前に、工事監理と施工が一体で行われるハウスメーカー方式という発注方法でいいのかどうかを先に決めることです。

すこし大げさに聞こえてしまうと思いますが、確かに問題が起きなければ大げさな話です。しかし紛争となれば、「なぜ、そのような選択の機会が得られなかったのか・・・」という非常に強い後悔に苦しむことになります。

実際に起こってしまった不具合・・・想像していたチェック体制と全く異なる現実・・・ハウスメーカーとの不毛な議論の応酬・・・そして自分に味方してくれるプロがいない現実・・・これらのストレスは体験者にしかわからない、非情ともいえる苦痛として襲いかかってきます。

なので、大げさだといわれようが、ここは徹底的に声を大に言わせていただきたいのです。設計事務所方式とハウスメーカー方式・・・2つのタイプのどちらが自分に合っているかを考える・・・これが業者選びの一番最初にやるべきことであり、最重要のポイントなのです。


ナオミ1

そんな大きな差があるなんて知りませんでした。ということは、ハウスメーカーを選んではいけないのですか?

けん

そんなことはありません。ただ、上記のように工事監理が分離されていないハウスメーカー方式は、施主の利益代行者的な立場や視点に欠けてしまう面があるということを理解しておくことです。

ナオミ1

そんな大切なこと、いったい誰が教えてくれるんですか?みんなそれを分かって、ハウスメーカーを選んでいるんですか?

けん

誰も教えてはくれませんし、多くの方がそうした大きな違いを知らないままハウスメーカと話を進めてしまいます。もちろんハウスメーカーが「工事監理に第三者性をもたせるため工事監理を別会社に委託しますか?」などと言ってくることはありません。

なので、施主は重大な取捨選択を無意識のうちにさせられてしまうことになるのです。だからこそ、このページの内容を家を建てようとする全ての人に最初にお伝えしたいのです。

ナオミ1

でも実際はハウスメーカーで建てる人って多いんじゃないのかしら・・・。

けん

ハウスメーカー方式の住宅シェアは圧倒的です。やはり、設計・監理・施工の一式受注により、全てがお任せで全自動で事が進み、施主の無駄な手間や費用をかけたくないというニーズにマッチしていることが大きいでしょう。

設計、材料調達、工事のシステム化など、あらゆるコストの合理化に強く、購買意欲をそそる提案や広告にも長けています。

ナオミ1

ハウスメーカー方式のシェアが多いということはそれだけトラブルも多いということですか?

けん

多くがトラブルに発展するわけではありません。ハウスメーカーも多くの実績によりトラブルが起きないよう施主の満足にかなう住宅を提供するノウハウを蓄積、向上させていますので、大きなトラブルに至るケースは率としては少数派です。

ナオミ1

わたしは、どちらかというとハウスメーカーがいいんですが・・・。

けん

もちろん、そうした第三者のアドバイザー的な役割に大きな違いがあるということを知った上で、あなたの性格に合っているのであればいいのです。「それでも私は・・・」という自己決断という過程を経ていることが非常に大切です。

絶対に避けていただきたいのは、工事監理の第三者性やアドバイザー的役割を施主が選択できる権利があったことを全く知らずに契約してしまうことなんです。

ナオミ1

そういわれると、どっちにしたらいいのかわからなくなってきました。

けん

それでは、選択の判断の参考として、工事監理の2つのタイプについて、どちらが向いているのか、簡単なチェックリストを用意したのでご覧ください。

あなたはどちらの発注方式が向いているかチェック

設計事務所方式(監理・施工 分離型)に向いている人

以下に該当する方は、設計事務所方式も十分に検討することをおすすめします。

  • 1.専門的なことが全く分からないので言いくるめられそうで不安
  • 2.施工会社のいうことが全然信用できない
  • 3.家づくりの判断に当たり、第三者的にアドバイスしてくれる専門家がほしい
  • 4.公的機関のスポット検査だけでは不安、定期的な現場の見張り役がほしい
  • 5.工事監理者が施工会社と同じでは不安、第三者目線で現場をがっちりチェックしてほしい

    施工会社と利害関係のない第三者性が、工事チェックという工事監理業務において絶大な力を発揮します。例えば以下のような不適切工事をチェックする場合において、第三者性の有無は大きな違いをもたらすでしょう。

    閉塞部分の不適切な施工事例 筋かい金物の所定の穴にビスが打たれていない

    施工会社と同じ会社の名ばかり工事監理者では、公的機関の検査に通ればいいという視点しか生まれません。こうした不正工事は絶対許さないという姿勢で施主の利益保護を図ろうという視点が持てるのは、施工会社とは別会社という第三者性が確保されたときのみです。

  • 6.引き渡し後のトラブルのときも施工会社との間に入ってくれる専門家がほしい

    工事監理と施工が一体のハウスメーカーの場合は、引き渡し後にトラブルが発生した時、施主がたった一人でハウスメーカーと向き合わなければいけません。しかし、工事監理と施工を分離しておけば、トラブルの際に施主と施工者の間に立って互いの主張の通訳・調整といった役割を工事監理者に期待できます。

    責任業務として図面と工事の照合を行った工事監理者に介在してもらうことで、専門業者とたった一人で戦わずに済み、解決への円滑性も大きく向上します。

ハウスメーカー方式(監理・施工 一体型)に向いている人

一方、上記のいずれにも該当しない方で、工事チェックの第三者性やアドバイザーのサポートよりも、特定のハウスメーカー自体を信頼している、また、コストの合理化、企業ブランドなどに価値を置く方はハウスメーカー方式でよいかと思います。


ナオミ1

ところで、ハウスメーカーで第三者の工事監理者を指定することはできないのですか?

けん

制度的には可能です。工事監理者は施主が決めるものですから・・・。しかし、ハウスメーカーは嫌がるでしょう。自社で設計・監理・施工一式を行うことで合理化できるのであり、その上で住宅価格やスケジュールが決まっているわけです。

第三者の工事監理者が入ってくるとなれば、それらの前提が崩れるため、同意してくれない場合も考えられます。

ナオミ1

でもハウスメーカーだけは変えたくないんです。

けん

ただ、そうした方法で建てている方も中にはいらっしゃいます。あとはハウスメーカーとの条件交渉次第ということになるでしょう。

スポンサードリンク

まとめ

住宅会社の選定フローをイメージとして最後にまとめます。多少長々と説明しましたが、要は、いきなりハウスメーカーに声をかけるのではなく、その前段の手順を踏んでから、話をしてくださいということです。

前段の手順とは監理・施工について分離型と一体型のどちらが自分に合っているかを判断するということ・・・つまり、高い第三者性を取るのか捨てるのかを決めてから住宅会社を探してくださいということですね。

住宅会社の選定フロー
工事監理について分離型と一体型のどちらが自分に向いているかを決める

工事監理を施工と分離するかどうかを決めてから会社選びを始める

以上のフローを経て、それでも「やっぱりハウスメーカーがいい」と決めた方は、次にハウスメーカー・工務店選びの重要ポイントをご参照ください。

ポータル関連記事