完全固定型のフラット35と変動型金利について、今月の最新金利とこれまでの推移について紹介します。

また、銀行・住宅ローン選びの参考として、

  • 住宅ローン利用者の選択動向
  • 消費税、住宅ローン減税の動向
  • フラット35に関する参考情報
  • 変動金利型ローン選びの基本情報、注意事項

など、住宅ローンを選ぶ際のポイントや参考情報について最近の資料も掲載しています。

金利だけではなく、これらの情報などもあわせて選択の参考にしていただければと思います。

2016年(平成28年)12月 民間金融機関の住宅ローン変動金利・3年固定金利推移、フラット35金利推移

今月の金利情報

平成28年12月主要金融機関フラット35最新金利一覧

今月のフラット35取扱い金融機関の各行の金利は、返済期間が21年以上35年以下(融資率9割以下の場合)で金利幅は1.1%~1.65%となっています。

このうち、取扱金融機関が提供する金利で最も多いのは1.1%となっており、先月(11月)より0.07ポイント上昇しています。

以下に、主要行の金利一覧を示します。
今月は1.1%(21~35年)が、フラット35の最低金利となっています。

2016年(平成28年)12月 フラット35の融資金利一覧(全期間・同一金利)

完全固定型金利フラット35
金融機関名 融資金利(%)(融資率9割以下の場合)
返済20年以内 返済21年~35年
アルヒ株式会社(旧SBIモーゲージ) 1.03 1.1
住信SBIネット銀行 1.03 1.1
全宅住宅ローン 1.03 1.1
楽天銀行 1.03 1.1
オリックス 1.03 1.1
日本モーゲージサービス 1.03 1.1
ジェイ・モーゲージバンク 1.03 1.1
(株)LIXILホームファイナンス 1.03 1.1
イオン住宅ローンサービス(株) 1.03 1.1
ファミリーライフサービス 1.03 1.1
財形住宅金融 1.03 1.1
ハウス・デポ・パートナーズ 1.03 1.1
日本住宅ローン 1.03 1.1
優良住宅ローン 1.03 1.1
あいおいニッセイ同和損害保険 1.03 1.1
三井住友信託銀行 1.03 1.1
りそな銀行 1.03 1.1
みずほ銀行 1.03 1.1
協同住宅ローン 1.28 1.35
三井住友銀行 1.51 1.58
※各金融機関の融資メニューのうち、最も金利が低いものを掲載。
※平成28年12月の資金受け取り分の金利。

さらに詳しく各行の金利を比較したい方はこちらをご覧ください。
 ⇒住宅金融支援機構(金融機関別取扱い金利)
あなたのそばの地銀も比較できます。
借入額、返済期間を入力して計算ボタンを押すと、各金融機関ごとの総返済額、融資手数料を一覧で確認することができます。

平成28年12月 主要金融機関 変動金利一覧

今月の各行が提供する変動金利のうち、全期間引下げ型の商品タイプで超低金利帯の金利を以下に示します。

今月の最低表示金利は0.497%となっています。

2016年(平成28年)12月 変動型の融資金利一覧(全期間引下げ型)

変動型金利
金融機関名 融資金利(全期間引下げ型)
住信SBIネット銀行 0.497%
auじぶん銀行 0.497%
楽天銀行 0.507%
イオン銀行 0.57%
※各種条件を満たし最優遇となった場合の金利を表示。

住宅ローン利用者の選択動向 みんなは何を重視しているか

住宅ローン利用者の選択動向は、ローン商品や銀行を選ぶうえでの一つの判断材料になります。

住宅金融支援機構が実施した、実際に住宅ローンを利用した方への調査結果などをもとに、みんなが何を重視し、どのような選択をしているのかを具体的にみてみましょう。

みんなは固定と変動どちらを選んでいるか?

まず、実際に住宅ローンを組んだ方が、変動型、固定期間選択型、全期間固定型のどれを選択したのか・・・それぞれのシェアを見てみましょう。

民間住宅ローン利用者の金利タイプ比較図

近年は金利の低下とともに全期間固定型(完全固定)タイプの割合が大きくなっています。それとともに、以前はシェアの高かった変動型金利の割合が低下しています。

3年、5年固定などの固定期間選択型も固定期間終了後は変動金利に切り替わりますので、これらも変動タイプの一種とみなすと、変動タイプは約6割ほどのシェアを占めています。

大まかにいうと変動型6:完全固定型4という割合となり、変動型が完全固定型を上回る状況に変わりはありません。完全固定金利がかなり下がったとはいえ、やはり0.4%台の変動金利は目を見張るものがあります。

20年間金利は上がらなかったのだから、今後も上がる見込みはないという期待と、やはりなんといっても、毎月の返済額が完全固定型と比べて少ないという魅力に押された結果といえるでしょう。

住宅ローンの決定要因-消費者が最も重視しているもの

消費者が住宅ローンを決定する際に最も重視しているもの、それは、言うまでもなく金利の低さです。以下の調査結果らもそれは明らかです。

利用した住宅ローンを選んだ決め手(フラット35以外)(H28年6月)

現在は民間競争が激しく、どこも似たような低金利を打ち出していますが、それはこういった強い消費者心理が背景にあることが一つの要因といえます。

銀行は適正な利ザヤの確保よりも、顧客獲得のために他行の金利水準に合わせざるを得ないという苦しい立場にありますが、消費者にとっては非常にありがたい状況といえるでしょう。

どのメディアを通じて住宅ローンを決定するに至ったか

また、住宅ローンの決定にあたって最も影響が大きい媒体を見てみると、「住宅メーカーや販売事業者」が1位に挙げられています。この順位は以前から常に変わることなく理由として突き抜けています。

利用した住宅ローン決定に際し影響が多きかった媒体(H28年6月)

ある別のアンケート調査では、任せる方が6割、自分で決める方が4割という結果があります。

住宅販売事業者の勧める提携銀行の金利が法外なものでなければ、任せた方が何かとスムーズにいきますので、勧められるままに決める方が多いのもうなずけます。

消費税、住宅ローン減税の動向

住宅の取得環境として見過ごせないのが消費税増税と住宅ローン減税です。これらの最近の動向について見てみましょう。

消費税増税 平成31年10月への延期が方針決定

平成29年4月1日に10%への増税が予定されていた消費税について、増税時期を平成31年10月1日に延期することが閣議決定(平成28年8月24日決定)されました。

例えば、住宅価格3,000万円の場合、消費税が8%→10%による増税額は3,000万円×2%=60万円となりますが、これが課せられる時期が2年半延長されることになります。

当面はこの件で契約を急ぐ必要はなくなりますので、ゆとりを持った計画が立てられそうです。

なお、新築引渡しの場合は増税適用に経過措置がありますので、参考に、現状における契約と増税の関係について以下に載せておきます。

消費税増税のタイミングと経過措置

住宅ローン減税もさらに延長

現行の制度で適用期間が平成26年4月1日~平成31年6月30日までとされていた住宅ローン減税の適用期間が、平成33年12月31まで2年6か月延長されることが決定されました。

これは、「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」として、消費増税の延期の決定とあわせて平成28年8月24日に閣議決定されたものです。

消費税10%引上げ時期を平成31年10月に2年6か月延期するするので、同時に住宅ローン減税の適用期間も2年6か月延長しますということです。

現行の住宅ローン減税制度は、住まい給付金とあわせて消費増税による住宅取得者の負担を緩和する意図で拡充された背景があることから、消費税の増税延期に連動してこれが延長されたものと考えられます。

これにより、平成33年12月31までに居住すれば、最大400万円の住宅ローン控除の適用が可能となります。(現行の住宅ローン減税の詳細はこちらをご参照ください。)

Caution!良好な住宅取得環境がしばらく続くが・・

低金利、消費増税延期、住宅ローン減税継続・・・住宅を取得する時期的な環境としてはとてもよい状況です。当面、駆け込みで契約を急ぐ必要はなくなりそうです。

ですが、制度的な背景だけで購入時期を決めるべきではありません。頭金の貯蓄具合や資金計画、契約相手の慎重な見極めなどを最優先に買い時を判断する必要があります。

増税前の時期は「今が買い時」キャンペーンがあちこちで打たれると思いますが、それらの扇動に流されない冷静さを常に保つことが大切です。

フラット35に関する参考情報

完全固定金利の代名詞ともいえるフラット35。

今月の金利情報については上記に示す通りですが、ここではフラット35に関する参考情報などについて説明します。皆さんの選択の参考にお役立てください、

約5人に1人がフラット35を利用している

テレビ広告などですでにご存じの方も多いと思われるフラット35ですが、いったいどれくらいの人が利用しているかを見てみましょう。

変動型、固定期間選択型、全期間固定型の利用者比率の推移は上図に示した通りですが、この全期間固定型の内、フラット35利用者の比率がどれくらいなのかを示したのが以下の図です。

フラット35利用者の割合(27年度)

全期間固定型利用者約38%の内、フラット35利用者は約60%を占めており、全体の比率でみると23.3%となっています。

住宅ローン利用者の内、概ね5人に1人がフラット35を利用しているといえるでしょう。

近年の調査では全体の20%弱で推移しており、最近では若干その比率が増加してきている印象があります。

フラット35を利用した理由に変化が・・

最近の住宅金融支援機構の調査(平成28年6月)において、フラット35を利用した理由として最も多かったのが、「金利が低い」からというのが44%(複数回答)で1位。

次いで、「金利上昇に備えて将来の返済額を確定」できるからというのが39.5%(複数回答)で2位となっています。

以前は、「金利上昇に備えて将来の返済額を確定」できるからというのが常に理由の1位でしたが、最近はフラット35の金利が大きく低下してきたため、平成27年以降、1位と2位が逆転するケースが出てきました。

やはり、完全固定でこれ以上の低金利はありえないと思えるほどの状況が背景にあると思われます。

フラット35のメリット

フラット35のメリットはいうまでもなく、

  • 返済額が変わらないので計画を立てやすい
  • 金利の変動不安を排除できる

という点にあります。

さらに最近では低金利により非常に利用がしやすくなっており、このメリットを享受しやすい環境にあります。

そして、フラット35にはフラット35Sという、政府の利息補助の制度があり、所定の条件を満たせばフラット35よりさらに金利優遇を受けることが可能です。

フラット35Sの詳細についてはこちらをご覧ください。

一方、デメリットとしては変動型金利が上昇しなかった場合、それと比べて過大に利息を負担してしまう恐れがあるという点があります。

最近のフラット35の金利低下が著しい

完全固定といえば10年前は金利3.0%が当たり前の時代でした。

それが、7年前の2009年に3.0%を割って以降、フラット35の金利は徐々に下がり続け、平成28年8月に0.9%(借入期間21~35年、融資率9割以下)という史上最低金利を記録するまでに下がり、昔を知る人間からは完全固定金利とは思えない領域に到達しています。

1.0%(借入期間21~35年)を切るという低金利が2か月続き、その後1%台に戻しながらも、現在も1.10%と相変わらずの低金利を維持しています。

ちなみに1年前のフラット35金利は1.55%でした。今月が1.10%なので、この1年間の差は0.45%となります。

後段に、金利が0.5%違う場合の利息額の比較表を乗せていますが、その差は286万円となります。

住宅取得時期がたった1年違うだけでこの差が生じるというのは、かなり大きいといえるでしょう。

フラット35の銀行の選択のめやす

フラット35の金利は上表に記載のとおり、どの銀行もほぼ横並びの状態です。

借入れ先の金融機関を決めるとき、ハウスメーカーなど住宅販売事業者を通じてというのが最も多く、いわゆるおまかせで決めるという方が多いのですが、フラット35の場合、これだけ横並びの金利であれば、正直どこの銀行でも構わないという気にもなってきます。

ハウスメーカーが普段から得意先としている提携銀行に頼んだ方が、書類のやり取りもスムーズに進むという利点もあるでしょう。

ですが、金利は同じでも銀行によって審査の基準が異なったり提供サービスが異なるなど、同じように見えて違うものです。

なので、インターネットを通じて複数の銀行をいろいろ調べた上で、自分で銀行を決めたいという方も増えています。

例えば楽天銀行住信SBI銀行のようにネット専業銀行のメリットを生かした事務手数料負担の少ない銀行もあります。

もはや、フラット35の業界最低水準金利はあたりまえ。さらに、どのような付加価値があるかも選択要素の内の一つといえるでしょう。

ハウスメーカーや不動産業者が勧める提携ローンと比較し、複数の選択肢を用意しておくことも大切です。

フラット35事務手数料が安い銀行(H28年12月、借入期間21~35年、融資率9割以下)
銀行名称 金利(新規) 金利(借換え) 特徴
住信SBIネット銀行
1.10% 1.10% 事務手数料1.0%(税抜き)
保証料・繰上げ返済手数料無料
8疾病保障付帯可能
1.10% 1.10% 事務手数料1.0%(税抜き)
保証料・繰上げ返済手数料無料
※金利は各銀行HPに表示されている最優遇金利を示しています。
※各種優遇・特約等の適用には、条件を満たす必要があります。
疾病保障とは:返済者が、がんなどの病気になり就業不能状態になったときに、返済をカバーしてくれる保険
保証料とは:返済者が返済できなくなったときに代わりに返済を行う保証会社に対し支払う料金

いずれにしても、フラット35では金利で選択を迷う必要がないため、消費者にとってありがたい状況が依然続いています。

変動金利型ローン選びの基本事項、注意事項

変動型金利はここ20年ほとんど上昇していないが・・・

このページのトップにあるグラフからもわかるように、いつかは上がる上がるといわれ続けて、結果としてほとんど上昇することがなかった変動金利。

さらに銀行間の顧客獲得競争が激化・・・適用金利は実質的に低下し、0.4%台の広告も珍しくなくなりました。

金利の将来動向は、過去からの延長線上に描けるものではありませんが、ここまで長期間大きな変化がないと、それに慣れてしまい具体的な上昇リスクをイメージできなくなる危険性も出てきます。

ですが、上昇リスクはあるとは知りつつも、フラット35と変動型の毎月返済額を比べたら、変動型に心が傾くのもやむをえません。それが人間心理です。

最近では、フラット35(21年~35年)と変動金利の適用金利の差を見ると、その差は概ね0.5%程度です。

この0.5%の差を利息額で表すと、以下の試算例では総利息の差が286万円となります。

金利が0.5%違う場合の利息額比較
金利 1.0% 0.5%
毎月返済額 85,000円 78,000円
総利息 557万円(①) 271万円(②)
総利息の差 286万円(①-②)
※試算ケース
借入額3,000万円、返済期間35年、元利均等払い、金利に変動がないと仮定、ボーナス返済なし

毎月返済額で7千円、年間あたりにすると8万4千円の差となりますので、それが×35年間と考えると、やはり変動型金利に目が行くのも無理はありません。

結果として、大きな上昇はなく変動金利を選択してよかったという結果になるかもしれません。もはや、低金利は当たり前・・・その流れに乗るのは間違った答えではないしょう。

しかし、結果オーライを漫然と期待するのではなく、リスクについて十分把握した上での選択であることが大切です。

仮に上昇に転じるとしても、初期の低金利のうちに元金償還速度を速められるメリットは大きいので、最初からそのメリットを捨てて完全固定にするのはもったいない・・・というような能動的な選択ならいいのですが、単純に毎月返済額が安いから・・・というだけの理由で変動型を選択するのはあまり望ましくありません。

以下では、変動型金利を選択する上で参考としていただくための基本事項、要点について説明します。

変動型の金利適用の仕組み

それではまず、変動型金利の適用の仕組みと種類について見てみましょう。

実際に借入れの際に適用される金利は、店頭で表示される変動金利(基準金利)がそのまま適用されるわけではなく、その基準金利から一定の優遇幅を差し引いた金利が適用されることになります。

基準金利-優遇幅=適用金利

という具合です。

たとえば、住信SBIの今月12月の変動金利を見ると、基準金利2.775%から引下げ幅2.278%が差し引かれ適用金利は0.497%となります。(通期引下げプラン、自己資金20%以上の場合)

そして、通常この優遇を受けるためには口座開設などの各銀行が指定する条件を満たす必要があります。

変動型の主なタイプとしては、以下のように優遇幅が全期間同じタイプ優遇幅が当初期間のみ大きいタイプ最初は固定でその後に変動金利になるタイプがあります。

変動金利の適用のタイプ

特約期間終了後の金利がどう上がるのかを把握する

全期間引下げタイプ以外は、特約期間が終了すると優遇幅が少なくなる、つまり見かけ上適用金利が上昇することがほとんどです。この優遇内容がどう変わるかをあらかじめ把握しておくことが大切です。

「今の家賃と変わらない返済額で家が持てる!」といった広告は当初引下げ幅の大きい金利で返済額を示していることが多く、将来的には返済額が上がることは積極的に説明されません。

なので、最初の低い金利に目を奪われるのではなく、特約期間が終わったら、優遇幅がどう変わり適用金利がどの程度上昇するのかを把握することが大切です。

商品プランや金利上昇の仕組みは難解にできている

変動型や固定期間選択型は類別すると前図のようなタイプに分けられますが、ローン商品の詳細内容は金融機関によって実に様々です。

消費者から見ると単純に金利だけを比べたいところなのですが、金利だけでは優劣をつけられない「条件」や「諸費用」などの差があるため直感的に判断することが難しくなっています。

さらに、金利を比べるにしても、当初とその後で段階的に金利が変わる場合、前述のように適用金利が実質上昇することに加え、当初期間終了後の適用金利が直感的に把握しにくいという難点があります。

具体的にいうと、例えば短期固定型の場合、当初期間は金利0.49%などと具体的な適用金利が示されているのに、固定期間終了後は引き下げ幅が1.8%という表現がされます。これは、基準金利は変動するものなので、その時点での適用金利を具体的に示せないためです。

そこで、相対的にどれくらい上昇するかを把握たいということになりますが、引き下げ幅がそれぞれ示されているのだから、その差分が実質上昇する金利と思ってしまいがちです。

しかし、これが勘違いをしてしまう部分なのです。具体的に見てみましょう。

当初期間終了後の金利上昇における誤ったイメージ

そうなんです。固定期間が過ぎると何もしなくても変動金利に自動で切り替わる商品ががほとんどです。

なので、それまでの3年固定の基準金利から引下げるのではなく、変動金利の基準金利からの引き下げとなるわけです。

単純に引下げ幅が2.0%から1.8%に減るだけだから、金利は実質0.2%しか増加しない・・・だから適用金利は0.4+0.2=0.6%というイメージを持ってしまいがちですが、これが誤りなのです。

変動金利の基準金利2.8%から引き下げ幅1.8%を引いて、適用金利は1.0%となるのが正解です。(もちろん、基準金利に変動がないと仮定した場合の話です。)

短期固定は最初の適用金利が非常に低いメリットはありますが、そのようなわかりにくさがあることにも注意しましょう。そういう点では、全期間にわたって引下げ幅が変わらない変動金利商品の方がわかりやすいといえるでしょう。

なぜ、わかりにくいのか・・その意図は?

どこかを探せば必ず小さい字で書いてあるのですが、都合の悪いことは非常にわかりずらく書いてあるものです・・・。

その理由は、他行と簡単に比較されないようにするため・・・そして、よくわからないまま借りてもらうため・・・という消費者の意思決定を操作しようとする暗黙の経営戦略が潜んでいるからかもしれません。そのためにメリットのみを上手に強調している。

言い方は悪いですが、もっとわかりやすくいうと、他行に顧客を奪われないようインパクトのある低金利に食いついてもらい、後半は気付かれないように利息を回収する・・・ということです。

このような戦略に飲み込まれないように金利状況を常に把握し、危険を察知したら即座に借り換えるなどの機動性を自身が持てるかを含めて、自分の性格に合った商品選択をすることも大切です。

変動型を選ぶ場合はそのようなリスクを受け入れたうえで、最初の返済負担額だけを見て判断するのではなく、トータルでどの程度の負担になるのかを予測するようにしましょう。

シミュレーターで総額比較する

基準金利は変動金利、完全固定金利、短期固定金利にあってはその固定年数ごとにそれぞれ定められ、その基準金利や引下げ幅は金融機関ごとにバラバラです。

また、段階的に金利が変更になるタイプでは上述のように後半の金利がどうなるかわかりずらい・・・そして、付帯保険、割引、上乗せ金利など各種条件も金融機関ごとにバラバラです。判断にはとても混乱が伴い、頭で考えてわかるものではありません。

結局のところ、自身の借入額、借入期間に応じて、総額でいくらになるのかを諸費用も含めてシミュレーションするしかないことになります。

各銀行のHPにはシミュレーターが備えてありますので活用しましょう。

また、以下の住宅ローン一括比較サービスのように、これらシミュレーションを複数銀行まとめて簡単に行える無料サービスを活用するのも方法です。

例えば、段階金利も含めた各金利タイプごとのシミュレーション機能が非常に便利ですので一つの参考にしてみてください。気に入る銀行があればそのまま、仮審査申請をすることも可能です。

住宅本舗住宅ローン一括審査申込みシミュレーター
住宅本舗-住宅ローンシミュレーション結果

>>住宅ローンを賢く選ぶための一括審査申し込みサイト

変動金利は無店舗型のネット専業銀行が優位

金利の力強さはやはりネット専業銀行が勝ります。その中でもさらに低金利クラスの以下を押さえておけば間違いないでしょう。

ハウスメーカーや不動産業者に勧められた提携ローンとの違いを比べてみてください。複数の審査を通しておけば、万が一審査で思わぬ結果が出たときの備えにもなります。

変動金利型(H28年12月)
銀行名称 金利(新規) 金利(借換え) 特徴
0.497%
(自己資金20%以上の場合)
0.497% 団信保険料無料
8疾病保障無料
保証料無料
繰上げ返済手数料無料
0.497% 0.497% 団信保険料無料
がん保障特約(50%)保険料無料
保証料無料
繰上げ返済手数料無料
0.507% 0.507% 団信保険料無料
保証料無料
繰上げ返済手数料無料
※金利は各銀行HPに表示されている最優遇金利を示しています。
※各種優遇・特約等の適用には、条件を満たす必要があります。
団信とは:返済者が、死亡・高度障害となった時に、残りの返済をカバーしてくれる生命保険
疾病保障とは:返済者が、がんなどの病気になり就業不能状態になったときに、返済をカバーしてくれる保険
保証料とは:返済者が返済できなくなったときに代わりに返済を行う保証会社に対し支払う料金