別寝室と夫婦円満の関係
夫婦別寝室は夫婦関係にとってよくないことなのでしょうか?ここでは、別寝室と夫婦円満の関係性について統計などを元にじっくりと考えてみたいと思います。

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いいからだまって一緒に寝る・・・それだけが正解ではない

「夫婦別寝室」・・・この問いは、本来、間取りなどを考えるうえでは避けては通れないテーマなのですが、忙しい家づくりの過程ではどうしても流されてしまいがちです。別寝室と聞くとあまり良いイメージを受けませんが、はたして、別寝室は夫婦不仲を招いてしまうのでしょうか?

実は、イメージの悪さが先行しているだけで、別寝室が不仲に起因するという明確な根拠はありません。むしろ、心の中では別寝室を望む方は意外と多いのです。もちろん、別寝室で夫婦円満という方もいます。

夫婦別寝室の良いところにも目を向け、あなた方夫婦にとっての最適解を導き出すための作業の前に、まず、別寝室につきまとう固定的なイメージが絶対的なものではないという、その理由について見てみましょう。

夫婦別寝室はよくない・・・まず、その決めつけをやめる

夫婦の愛の巣が失われた世界・・・「夫婦別寝室」とは夫婦の終末期に訪れる関係破たん・・・そのような良くないイメージを受けますが、果たして本当にそういうことなのでしょうか。

みなさんが最も気になるのは、別寝室で寝ているといつの間にか夫婦が疎遠になり、やがては破局に向かう・・・そのような目には見えない法則の存在ではないでしょうか。

客観的な調査データを冷静にみつめ、別寝室と夫婦不仲の関係性・・・別寝室の希望実態などを分かりやすくひも解いていきます。

絶対法則などない

まず、「別寝室は悪・・・間取りで夫婦仲が決まる・・・」このような極端な発想を取り除くことが大切です。そして、みなさんに「なんだ、そういうことか」ということに気付いていただき、柔軟な発想でこの夫婦別寝室というものを捉えていただきたいのです。

その中で、あなたの個性に合ったプランニングをしていただけるよう、別寝室と間取りにおける解答例もヒントとして(次ページで)お示ししたいと考えています。

最初に「別寝室」のことを考えておくことで後悔が防げる

別寝室や間取りで、人生の幸福すべてが決まるわけではありません。多くの方は、標準的なプランの中でも就寝スタイルやコミュニケーションを工夫しながら、なんとかうまくやっていくものです。

ただ、最初に少しだけ考えておくと、後に大きな負担(間取り改修など)をすることなく、夫婦関係の円滑性や、住み心地全体にとってプラス効果を期待できるということなのです。(なぜなら、次ページで説明しますが、別寝室を希望する方は意外と多いのです。)

先入観や固定観念がプランニングを確定してしまう場合があります。もし夫婦のどちらかに、「別寝室も悪くないのでは・・・」という思いがかすかにあるのであれば、就寝形態を決めつけるのではなく、別寝室というものに柔軟な視点で向き合ってもらいたいのです。

できれば、キッチンやリビングをどうするかと同じレベルで、最初の段階で検討したいテーマといっていいでしょう。

夫婦別室で寝ると夫婦不仲になるのか

それでは、夫婦別寝室と不仲の関係性について見ていきましょう。別寝室は、最初にそのきっかけになりやすいのが、子供との添い寝です。子育て世帯などでは母親が子供部屋で添い寝し、一時的に「夫婦別寝室」に近いスタイルをとるケースが多いと思います。

そして、夫婦別寝室状態は一時的なものと思っていたら、子供が自立しても別寝室が常態化し、夫婦関係がいつのまにか冷めてしまったという例も見聞きします。

夫婦別寝室はやっぱり良くないんだ・・・この漠然とした不安が、寝たくないけどとりあえず一緒に寝ている・・・という不本意な状態をつくってしまう要因にもなっています。

はたして、本当のところはどうなんでしょうか。

  • 夫婦別寝室でいると、本当に不仲になるのでしょうか?
  • 夫婦別寝室でも夫婦円満という人はいないのでしょうか?

それでは、データを見ながら夫婦別寝室と円満との関係を探り、漠然とした不安の正体を見てみることにしましょう。

データは概ねどの調査においても、結果に同じような傾向がみられます。ここでは、以下のオウチーノ総研が行った調査結果を参照させていただきます。

「夫婦の寝室に関するアンケート調査」(2013年7月)
調査対象20歳~69歳の既婚男女561名

※これ以降に示すグラフ・図は、上記調査結果をもとに当サイトでわかりやすく作成したものです。

全体の約8割が夫婦円満と感じている

まず全員に対し夫婦仲が円満かどうか聞いた結果について見てみましょう。

夫婦仲は円満ですか?

夫婦円満かどうかを訪ねた結果、約8割が概ね円満と回答

このように、「円満」「どちらかと言えば円満」(以下、単に「円満」といいます。)を合わせると80.6%を占めるとの結果です。他の統計調査においても、「円満」夫婦は7~8割程度と、この数字に近い結果であることがわかっています。

「円満」と感じている夫婦は意外と多いんですね・・・。

一方、「円満ではない」「どちらかといえば円満ではない」「どちらともいえない」(以下「不仲」といいます。)と感じる人は約2割という結果です。

「円満」夫婦の約8割が同じ寝室だが、「不仲」の夫婦は約半数が別寝室

次に、「円満」「不仲」と回答した人それぞれに対し、同じ寝室で寝ているかどうかを尋ねた結果について見てみましょう。

同じ寝室で寝ていますか?

夫婦同じ寝室かどうかを訪ねた結果,不仲と感じている夫婦は別寝室の割合が高い

「円満」と感じる夫婦のうち、同じ寝室で寝ているかを聞くと78.8%が一緒に寝ているという結果です。一方、「不仲」と感じる人のうち、別の寝室で寝ている人の割合は47.7%という結果です。

つまり、円満と感じている人の約8割は一緒の部屋で寝ており、円満と感じない人の約半数は夫婦別寝室で寝ているということですね。

この結果から、「別寝室で寝ると夫婦が不仲になりやすいのでは?」という不安が湧いてきますが、やっぱり本当だったのでしょうか・・・。

いやいや、ちょっと待ってください。もう少し冷静にデータを見つめてみたいと思います。

別寝室は夫婦不仲の原因と断定はできない

前図は、対象の一部を切り取ったデータなので、「木を見て森を見ず」という状態になる恐れがあります。この調査全体データを俯瞰し、その中での比率とともに見てみましょう。

それが次のグラフになります。

夫婦の寝室に関するアンケート調査 全体像

夫婦円満と同寝室・別寝室の割合全体像-日本人の多くは夫婦円満で同寝室

こうしてみると、先ほどの円グラフとはまた違う印象を感じるのではないでしょうか。切り取ったデータをクローズアップするのと、全体を俯瞰してボリュームとともに見るのでは受ける印象が大きく異なります。

このグラフから読み取れるのは、どう寝るかに関係なく、だまっていても日本人の約8割はおおむね夫婦円満であり、それを単純に同寝室か別寝室で振り分けると約8割は一緒の部屋で寝ている・・・ただそれだけのことではないかと思えるのです。

確かに、不仲の比率は、別寝室の方が同寝室よりも高いといえます。しかし、あくまでも少数派であって、量を見ずにその比率だけを見て不安を感じるのは少し行き過ぎた感じがするのです。

逆に、円満でない夫婦は2割しかいないというのは、安心できる結果ではないでしょうか。そもそも円満でないのは「別寝室以外にも原因があるだろう」と考えるのが自然です。

この少数派の円満でない2割について、さらに寝室は同じか別かを突き詰めたところで、視野を矮小化しているだけで、大切な視点を見失う要因にしかなりません。そもそも、円満かどうかの感じ方は、就寝形態のみで決まるものではないのですから。

別寝室と不仲の関係性を特定するのは難しい

夫婦が円満かどうかと就寝形態を結びつけたデータは非常に興味を引くテーマなのですが、この結果に、プランや考え方を大きく左右されてしまうようなことには問題がありそうです。あくまで参考程度・・・とラフに考えるのがよいでしょう。

つまり、データというものでは、以下の点から、そもそも別寝室と不仲の直結性を判断する根拠を得るのは難しいといえるのです。

1.破たんしていなければ円満になる可能性

日本人は「とにかく夫婦は一緒に寝るもんなんだ」と思い込んでいる方が多く「破たんしていない限り、一緒に寝ていればまあ円満だろう」という方が多いということが予想されます。

よって、なにが円満なのかがよくわからないという方や、仲がいいとはいえないという方も、同寝室で寝ている人の多くが円満側に回答が流れてしまうでしょう。(円満の定義が明確でないことが原因ですが、かといって、これを定義したところで得られたデータにどういう意味があるのかという新たな問題が生じます。)

つまり、実質以上に「円満―同寝室」の割合が高くなり、結果として別寝室における不仲の比率が相対的に高く見えてしまっている可能性が考えられます。

2.一緒に寝ているかどうか以外の理由が全く反映されない

夫婦円満性には、一緒に寝ているかどうか以外の理由があるにもかかわらず、それらが全く反映されず、単純に一緒に寝ているかどうかと円満性が結び付いた結果しか得られないことに問題があります。

例えば、

  • 元々、別寝室かどうか以前に不仲である場合、つまり、別寝室が全く不仲に起因しないケースであっても、「不仲-別寝室」として計測される。
  • 「まあ夫婦円満だが、それは日々のいろんな努力で保っているのであり、一緒に寝ているだけが理由ではない。」という方のデータが「円満―同寝室」の数として計測される。

といったように、本来行き場のない回答が一方に偏り、見かけの数を押し上げるように働いてしまうことが考えられます。そもそも、もともと不仲だから結果として別寝室になった人が多いのでは?という気さえします。

結果として、「円満-同寝室」の関係性が実質よりも強調され、円グラフを見ただけでは、偏った印象を受ける可能性が否定できません。まるで、「同寝室が善で別寝室が悪」であるかのような極端なイメージですね。しかし、それではやや決めつけ感が強いといえるでしょう。

本来的には「同じ寝室だから円満になった」「別寝室だから不仲になった」という純粋な相関を読み取りたいところですが、このあたりは、どんなに調査精度を高くしても、直結性を見出すことは難しいといえるでしょう。

円満の定義が個人の主観に左右され、一緒に寝るかどうか以外の夫婦間要因を除くこともできず、実際に選択しなかった就寝方法での反証もできないことから、その原因と結果の妥当性が検証できないのです。

別寝室は絶対に不仲になるわけではないが、そうならない保証もない

上記の観点からわかるように、別寝室で夫婦不仲になるというような強い原因性を見出すことには無理があり、確実にそうなるという根拠はありません。

なんといっても、17%の方は別寝室でも円満と感じているように、「別寝室だと不仲になる」などというのは絶対の法則ではないということがいえるのです。

しかし、別寝室が不仲の原因になるという根拠はないが、不仲にならないという根拠もない・・・これもまた事実といえるでしょう。

夫婦同寝室で寝れるならそうした方がいい

別寝室だからといって夫婦が不仲になるわけではない・・・確かに一面の真理は突いているのでしょうが、かといって、一緒に寝ることには夫婦円満に働く要素が大きいということも否定できない事実でしょう。

先人の知恵や経験則に基づいた慣習は言葉にできない説得力があります。だから、圧倒的多数が夫婦同寝室という結果につながっているのだと思います。なので、何の障害もなければ一緒に寝た方がいいでしょう・・・あえて、別寝室を積極的に選ぶ必要はないわけです。

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大切なのは固定的な法則に従うのではなく、個人の価値観に合わせるという発想

しかしながら、次のページで説明するように、本当は一緒に寝たくないと思いながらも、ただやみくもに一緒に寝ている方が意外と多いのが現実です。

つまり、「夫婦別寝室は不仲になる」などと決めつけて暮らすことが、いかに、夫婦互いのストレスを蓄積させるか・・・その可能性を知った上で、バランスのとれた判断をすることが賢明だといわざるを得ないのです。

夫婦の円満性を保つための答えは、各家庭それぞれで異なり、同寝室というものだけに絶対的に支配されるものではありません。

「夫婦は同寝室であるべきだ」という有無を言わせぬ法則に、無理矢理現実を合わせるのではなく、別寝室のメリットもしっかり評価し、夫婦の価値観の多様性に寝室計画をフィットさせることが、先々の後悔や改修負担を予防することにつながるのです。

そして、固定観念に縛られない、その柔軟な発想こそが夫婦の円満関係をより高める「相手への想い」にもつながるはずです。

それでは、次に別寝室を希望している夫や妻がどれくらいいるのか、そして、さまざまな夫婦の本音や変化に対応できる間取りとはどういうものかを考えてみたいと思います。

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