このページは2019年度(令和元年度)についての情報になります。
2020(令和2年度)のゼッチ(ZEH)補助金については以下をご覧ください。

ZEH:ゼッチで70万円補助 2019(令和元)年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業の概要

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ここでは、2019年度ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)に対する支援事業の概要について紹介します。

ZEHゼッチとは、かんたんにいうと、エネルギー収支が概ねとなる住宅・・・つまり太陽光で発電したエネルギーと、消費エネルギーが概ね同じになる省エネ性能の高い住宅をいいます。国は現在、このZEHの普及を強く勧めており、「ZEH」を取得、あるいはZEHに改修する方に対し、補助金を交付しています。

ZEH補助のメニューは複数ありますが、ここでは、個人が対象戸建て住宅の補助メニューについて、全体概要、補助要件などを、ポイントを絞ってわかりやすくお伝えします。

2019年度 ZEH支援事業の概要(戸建て住宅)

戸建て住宅の補助メニューの全体概要は以下の通りです。

主な要件と補助額(戸建て住宅)

2019ZEH補助金をもらえる人、主な要件、補助メニュー・補助額

戸建の補助メニューは4つ

以上のように、戸建て住宅の場合、補助金のメニューは①~④の4つの補助事業で構成されており、①~③のいずれかを利用することができます。なお、④については、①または②と併せて利用することができる事業で、単独で利用することはできません。

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ZEHの種類と特徴

補助額はZEHの性能によって変わり、性能が高いほど補助額が高く設定されています。それぞれのZEHの性能の大まかな違いを見てみましょう。

各ZEHの性能要件の比較(イメージ)

ZEH、ZEH+、ZEH+Rの各性能要件の包含関係

ZEH+とは、ZEHをより高性能化したもので、省エネ性をさらに高くし、電気自動車充電設備などの再生可能エネルギーの自家消費拡大につながる設備を導入した住宅をいいます。

一方、ZEH+Rとは、ZEH+に、停電時の対応機能を加えたもので、非常電源、温水機能の確保などのレジリエンスを強化した住宅をいいます。

ZEHの種類別 補助事業の詳細

①~④の各補助事業の補助額、要件について、それぞれ具体的に整理します。

①ZEH支援事業
補助額 定額70万円/戸
追加補助額 蓄電システム補助 2万円/1kWh
(補助対象経費の1/3又は 20万円のいずれか低い額)
補助対象事業者(申請者) ・戸建ZEHを新築する方
・新築戸建て建売ZEHを購入する方
・自己所有の戸建住宅をZEHに改修する方
主な要件 ■ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしていること
20%以上の一次エネルギー消費量削減)
事業詳細 【環境省ZEH】平成31(2019)年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における低炭素化促進事業-SII
②ZEH+実証事業
補助額 定額115万円/戸
追加補助額 蓄電システム補助 補助対象外
ただし、④先進的再エネ熱等導入支援事業の併願で蓄電システムの追加補助の申請が可能
補助対象事業者(申請者) ・戸建ZEH+を新築する方
・新築戸建て建売ZEH+を購入する方・自己所有の戸建住宅をZEH+に改修する方
主な要件 ■以下の1~3を満たす
1.ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしていること2.さらなる省エネ(25%以上の一次エネルギー消費量削減)3.以下の内2つを導入
・さらなる高断熱
・高度エネルギーマネジメント
・電気自動車(PHV車含む)の充電設備
事業詳細 【経産省ZEH】平成31(2019)年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業-SII
③ZEH+R強化事業
補助額 定額125万円/戸
追加補助額 <蓄電システム補助>
2万円/1kWh
(補助対象経費の1/3又は 30万円のいずれか低い額)<太陽熱利用温水システム>
液体式:17万円/戸、
空気式:60万円/戸
補助対象事業者(申請者) ・戸建ZEH+Rを新築する方
・新築戸建て建売ZEH+Rを購入する方・自己所有の戸建住宅をZEH+Rに改修する方
主な要件 ■以下の1~3を満たす
1.ZEH+に係る要件を全て満たすこと2.停電時に、主たる居室で電源を確保できること3.一定の能力を有する蓄電システム、太陽熱利用システムのいずれかまたは両方を導入すること
事業詳細 平成31(2019)年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを活用したレジリエンス強化事業費補助金-SII
④先進的再エネ熱等導入支援事業
(①または②と併願可能)
補助額 上限90万円/戸
追加補助額 蓄電システム補助2万円/1kWh
(補助対象経費の1/3又は 30万円のいずれか低い額)※この追加補助は②ZEH+実証事業において蓄電システムを導入する場合に限ります。
補助対象事業者(申請者) 「平成31(2019)年度①ZEH支援事業」または、「平成31(2019)年度②ZEH+実証事業」のいずれかの交付決定を受けている者
主な要件 以下のいずれかを導入
①CLT(※1)
②地中熱ヒートポンプシステム
③PVTシステム(※2)
④液体集熱式太陽熱利用システム

事業詳細 平成31(2019)年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを活用したレジリエンス強化事業費補助金-SII

■その他共通要件等

  • 交付決定日以降に本事業に着手すること
  • 住宅は申請者が常時居住する専用住宅であること
  • 申請する住宅はSII(注1)に登録されたZEHビルダー/プランナー(※3)が設計、建築、改修または販売を行う住宅であること。
  • 申請する住宅について、省エネ性能表示にてZEHであることを示す証書を取得、提出すること
  • 導入する設備は各事業の要件を満たすものであること。
  • 要件を満たすエネルギー計測装置を導入すること。
  • 既存戸建住宅は、住宅全体の断熱改修を含み、導入する設備は原則として全て新たに導入すること。
  • など・・・

注1 SII:一般社団法人環境共創イニシアチブ

■用語解説

※1 CLTとは
CLT(直交集成板)とは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルをいいます。

これを壁や床などの構造体に使用しZEH住宅とした場合にさらに90万円/戸の補助が受けられます。CLTのより詳しい内容や建築例は以下をご参照ください。
一般社団法人 日本CLT協会

※2 PVTシステムとは
PVTシステムとは太陽光発電パネルと太陽熱集熱器が一体となったものをいいます。
※3 ZEHビルダー/プランナーとは
自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合を2020年度(令和2年度)までに50%以上とする事業目標(以下「ZEH普及目標」という)を掲げるハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者等をいいます。SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)で公募、登録したZEHビルダー/プランナーを公表しています。

スケジュール

今年度のZEH補助金の募集と完了スケジュールを以下に示します。ご自身のスケジュールに沿うかどうか、依頼先のZEHビルダー/プランナーに相談するときの参考としてください。いずれの補助事業においても、交付決定通知後に事業に着手する必要がありますので注意しましょう。
2019ZEH補助金全体スケジュール

スケジュールは変更となる場合があります。最新の情報は、各事業ホームページをご確認ください。

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ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とはなにか?

ZEH(通称ゼッチといいます。)とは、ごくかんたんに説明すると、

使うエネルギー発電するエネルギーほぼ同じになる住宅

をいいます。エネルギー収支が0ということです。

もう少し、具体的に説明すると、「断熱性能が高く、暖房や給湯などのエネルギー消費が少ない設備を使った省エネ性の高い住宅で、かつ、使う分と同じだけのエネルギーを発電して補うことのできる住宅」をいいます。

図でいうと以下のようなイメージです。
年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下となる住宅



同じく経産省 資源エネルギー庁では、ZEHを以下のように説明しています。

ZEHは、快適な室内環境を保ちながら、住宅の⾼断熱化と⾼効率設備によりできる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電等によりエネルギーを創ることで、1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅

発電した電気ですべてをまかなうの?

なお、このZEHは、実際に発電した電気で、その住宅の暖冷房・給湯・照明の設備をすべて動かさなければならないということではなく、あくまでも、使うエネルギーと発電したエネルギーが、年間のトータルで同じになるように設計施工された住宅をいいます。

つまり、必ずオール電化住宅にする必要はないということです。

そして、使うエネルギーと発電するエネルギーを比べる際、ガスや灯油、電気などの消費量を共通の単位に換算して比較する必要があるのですが、その時に用いられる単位が「一次エネルギー消費量(単位:Jジュール)」というものになります。

国は、「2030年までに新築住宅の平均で住宅の年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロとなる住宅(「ZEH」)の実現を目指す」とする政策目標を設定しており、この目標に向けた誘導支援として補助金の交付が行われています。

補助対象となるZEHの条件は?

補助の対象となるZEHの基準は、ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たすことがベースとなります。専門的な言葉になりますがその定義を掲載します。

<参考> ZEHロードマップにおけるZEHの定義

【基本事項】
基準一次エネルギー消費量、設計一次エネルギー消費量の対象は暖冷房、換気、給湯、照明とする。
また、計算方法は、平成28年省エネルギー基準で定められている計算方法に従うものとする。なお、法改正等に
伴い計算方法の見直しが行われた場合には、最新の省エネルギー基準に準拠した計算方法に従うこととする。
また、再生可能エネルギー量の対象は敷地内(オンサイト)に限定し、自家消費分に加え、売電分も対象に含める。
但し、エネルギー自立の観点から、再生可能エネルギーは全量買取ではなく、余剰電力の買取とすべきである。ま
た、再生可能エネルギーを貯めて発電時間以外にも使えるよう、蓄電池の活用が望まれる。

● ZEHの定義
以下の①~④の全てに適合した住宅
① 強化外皮基準(1~8地域の平成28年省エネルギー基準(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)
を満たした上で、UA値 1、2地域:0.4[W/㎡K]以下、3地域:0.5[W/㎡K]以下、4~7地域:0.6[W/㎡K]以下)
② 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
③ 再生可能エネルギーを導入(容量不問)
④ 再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

● Nearly ZEHの定義
以下の①~④の全てに適合した住宅
① 強化外皮基準(1~8地域の平成28年省エネルギー基準(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA値 1、2地域:0.4[W/㎡K]以下、3地域:0.5[W/㎡K]以下、4~7地域:0.6[W/㎡K]以下)
② 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
③ 再生可能エネルギーを導入(容量不問)
④ 再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減

● ZEH Orientedの定義
以下の①~②の全てに適合した住宅
① 強化外皮基準(1~8地域の平成28年省エネルギー基準(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA値 1、2地域:0.4[W/㎡K]以下、3地域:0.5[W/㎡K]以下、4~7地域:0.6[W/㎡K]以下)
② 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
※ 再生可能エネルギー未導入でも可。
※ 都市部狭小地(北側斜線制限の対象となる用途地域(第一種及び第二種低層住居専用地域並びに第一種及び第二種中高層住居専用地域)等であって、敷地面積が85㎡未満である土地。ただし、住宅が平屋建ての場合は除く)に建築される場合に限る。

上記はZEHロードマップにおけるZEHの定義であり、本事業の要件と異なる部分があります。

ZEHビルダー/プランナーの実績や評価を調べる

くり返しになりますが、この補助金は、SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)に登録されたZEHビルダー/プランナーによる設計、建築、改修、販売される住宅であることが交付の要件となっています。登録は以下で確認することができます。
ZEHビルダー/プランナー一覧検索(随時更新)-SII

一覧検索では、ZEHの目標戸数割合・実績戸数割合、各社のホームページリンク、ZEHビルダー/プランナー評価(エクセルファイル)などが記載されていますので、依頼先選びの参考としてください。(都道府県や評価などから事業者を絞り込むこともできます。)

■ZEHビルダー/プランナー評価とは
ZEHビルダー/プランナーとは、SIIにおいて、これまでのZEH補助金活用の実績に基づいた評価を5段階(★の数)で表したものです。
ZEHビルダー/プランナー評価制度とは図:平成31年度の経済産業省と環境省のZEH補助金について-SIIパンフレット(PDF)より

まだ、普及途上の制度なので、評価の有無はあくまでも一つの参考とするのが良いでしょう。そもそもZEHビルダー/プランナーは、補助金の申請を含めたZEHの家づくり全般をお任せする契約相手です。まず、なによりも、費用、デメリット、質問に対してのわかりやすい説明があるかなど、契約相手として信頼関係が築けるかどうかが大切です。

制度のポイントQ&A

よくある質問コーナー
この制度における注意点、ポイントをQ&A形式にまとめました。気をつけるべき点について押えておきましょう。 

誰が申請するの?
補助金の交付申請ができるのは、

  • 新築戸建住宅の建築主
  • 新築戸建建売住宅の購入予定者
  • 既存戸建住宅の所有者

となっていますが、手続きについては、第三者に代行を依頼することが可能です。もちろんZEHビルダー/プランナーに手続きを依頼することも可能です。手続きはスケジュール管理も含め、煩雑、かつ専門知識を要しますので、ZEHビルダー/プランナーに手続きを依頼するのがスムーズです。

ZEHの補助要件を満たせば必ず補助を受けられるの?
必ず補助を受けられるわけではありません。公募規模を超えた申請があった場合は抽選で申請受付者を決定します。

また、ZEHビルダー/プランナーに対する事前割当枠公募方式では、各ZEHビルダー/プランナー毎に申請できる戸数が限られています。依頼するZEHビルダー/プランナーやタイミングによって変わりますので事前に確認しましょう。

交付決定日前に事業に着手した場合、補助は受けられますか?
補助は受けられません。新築する場合で事前着工した場合や、新築建売住宅購入の場合で事前引渡しをしたものは要件不適合となります。
発電した電気は買い取ってもらってよいのですか?
補助金の交付を受ける要件として、「余剰電力買取方式に限る」とあり、自家消費して余った電力は売ることができますが、「全量買い取り方式」はできないこととなっています。
ZEHはどんなメリットがあるのですか?
ZEHとは、高断熱、高効率設備、発電、蓄電を組み合わせた、省エネルギー性能では先端をいく住宅です。
メリットとしては以下のようなものが考えられます。

  • エネルギー消費が少なく光熱費が低減できる
  • 高性能な省エネ住宅として資産の高価値化ができる
  • 客観的な性能評価を受けるため、ZEHというブランドで価値を説明・判断でき、売買がしやすい
  • 認定住宅としやすく、優遇減税を受けやすい
  • フラット35Sの金利優遇を受けられる

一方、デメリットとして、太陽光発電設備が必須であるなど、初期の費用が割高となってしまう点が挙げられます。一般的にZEH化には250~300万円程度かかるといわれています。

結局光熱費はタダになるの?
必ず光熱費がかからないというわけではありません。あくまでも、一定の想定のもとエネルギー収支が概ねを目指しているもので、実際の利用結果として、光熱費の収支がにならない場合もあります。

ただ、実態上、使用電力を控えたり、天候により発電電力が多くなった場合などは、余剰電力(発電した電力-使った電力)の買取によって、光熱費の収支が0になるケースもあります。

参考:実際の光熱費の算定例
ZEHの年間光熱費ってどれくらいなの?(ゼロエネ住宅を建てよう)

詳細情報 補助事業の事務局

制度の詳細については、以下をご覧ください。

【環境省ZEH】平成31(2019)年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における低炭素化促進事業-SII【経産省ZEH】平成31(2019)年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業-SII平成31(2019)年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを活用したレジリエンス強化事業費補助金-SII
参考
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について-国土交通省ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について

まとめ

最後に補助の要件についておさらいします。

ZEH補助金の主な要件(戸建て)

  • ZEHを新築購入、またはZEHに改修する
  • 所有者自ら居住する専用住宅である
  • SIIに登録されたZEHビルダー/プランナーが建設に関与

ZEHは国の施策として大きな投資がなされている分野であり、今後の住宅性能の大きな旗印になると考えられます。初期費用のハードルもありますが、光熱費の投資回収計算だけでは計れない、客観的な性能価値を資産に付与できるメリットがあります。また、快適性やヒートショック緩和など、実際の住み心地の面での良さも期待できるといわれています。

初期費用の負担緩和には、こうした制度の利用は欠かせませんので、ZEHを検討されるかたは、忘れずに活用しましょう。

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