ここでは、建築生産に必ず関与する工事監理者について詳しく説明します。知ってるようでよくわからないのが工事監理者・・・皆さんは以下のような疑問をお持ちではないでしょうか?


・どんな役割があるの?
・必要な工事の規模は?
・工事管理者や監督と何が違うの?
・施主は工事監理で何をすればいいの?


これらの点について、わかりやすく説明したいと思います。

はじめに

実際のところは、工事監理者のことなど全く知らなくても家づくりは自然と進み、それで世の中、概ねうまく回っているのも事実です。

しかし、結果論ですが、この工事監理者のことをあらかじめしっかり考えておけばよかったと悔いる場面に直面するときがあります。それは、欠陥や不具合が発生した時です。

住宅生産の合理化で、工事監理が流れ作業に組み込まれ、第三者性がそぎ落とされている現状に気付けないまま契約することは、施主にとっての重大な機会損失です。本来、工事監理者の果たす役割やその立場を知った上で、工事の発注方式や住宅会社の選択という重要な意思決定をすべきなのです。

この後戻りできない決断で後悔を残さないよう、やはり、工事監理者の基本について、最低限は理解しておくことをお勧めします。

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工事監理者の役割とは

まず、工事監理者の立場や役割の概要について理解していただくには、工事監理者をはじめとする複数の建築技術者の関与とともに家づくりが進んでいくことを体系的に説明した以下のページをご覧いただくと良いでしょう。
家づくりにおける設計・監理・施工者の役割―消費者保護の体系図

ここでは、さらに、その中の工事監理者に焦点を絞ってより詳しく説明していきます。

工事監理者とは?

まず、工事監理者の業務全体のイメージを見てみましょう。

■工事監理の業務全体イメージ

工事監理の業務全体イメージ

工事監理者は、工事管理者や工事監督(後述)と異なり、以下のように、その立場が法律で明確に定義されています。

工事監理者とは
工事監理者とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書通りに実施されているかいないかを確認する者をいう。

■建築基準法第2条第11項

 工事監理者 建築士法第二条第八項に規定する工事監理をする者をいう。

■建築士法第2条第8項

 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。

工事監理者は、かんたんにいうと、工事を図面通り行わせる法律で定められた専門家(建築士)ということになります。つまり、契約の履行や法適合を果たすために、とても大切な役目を担っている立場なのです。

なお、工事監理者は1級や2級などの建築士である必要があり、原則として工事に関与しなければいけません。

工事監理者のさらに大切な役割

また、上図に示すように、工事監理者は、工事監理が終了した場合は、その結果を施主(建築主)に報告しなければいけないことになっており、図面通りに工事が行われたかどうかが書面で伝えられます。

■建築士法第20条第3項

 建築士は、工事監理を終了したときは、直ちに、国土交通省令で定めるところにより、その結果を文書で建築主に報告しなければならない。

なお、工事監理者は、以下の仕事を併せて工事監理をしなければなりません。

  • 工事施工者が図面通りに行わなければ指摘し図面通り工事するよう求める
  • その求めに従わない場合は施主(建築主)に報告する

■建築士法第18条第3項

 建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。

まさに、工事監理者は、施工会社がミスを起こさないよう、施主(建築主)の代わりになって第三者的に現場を監視するという立場にいることがわかります。

工事監理者はどこの会社に所属してもいい

工事監理者は、所属に全くの縛りがありません。工事の規模・用途に応じた建築士の資格さえあればよいことになっています。つまり、設計事務所に属していようと、ハウスメーカーや工務店に属していようと法律上の問題は全くないということになります。

なので、いわゆる「監理・施工一式」を請け負うハウスメーカーや工務店の受注スタイルが存在するわけです。

つまりこのスタイルが、競争激化による合理化優先の現場運営によって、工事監理までもが極端に合理化されてしまうリスクを生む遠因になっているのです。

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工事監理が必要な工事とは(建築士の業務範囲表)

次に、工事監理が必要な建築物の規模や用途(次表参照)について見てみましょう。建築基準法では、階数2以下かつ100㎡以下の木造建築物などを除き、原則、工事監理者を定めて工事を行わなければいけません。

■建築基準法第5条の6第4項

 建築主は、(建築士法第三条第一項~[中略]に規定する建築物の工事)に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第三条第一項~[中略]に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。

■建築基準法第5条の6第5項

 前項の規定に違反した工事は、することができない。

また、建築物の規模や用途に応じた工事監理に必要な建築士の資格が定められており(次表参照)、その資格保有者に工事監理を委任する必要があります。

■建築士法第3条第1項

 左の各号に掲げる建築物(次表参照)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。

これらを早見表としてまとめたのが以下の表になります。
建築士の業務範囲早見表

なお、一般的な2階建ての木造戸建て住宅であれば、2級建築士または1級建築士が工事監理を行うのが通常です。

工事監理はどのように行われるのか

工事監理の中心業務である設計図書と工事の照合作業は、具体的にどのように行われるのかを見てみましょう。設計図書との照合は、以下のように工事全体を通し、工事の各工程ごとに、現場検査によって行います。

工事監理に基づく検査工程

照合する設計図書には、材料や寸法、適用すべき仕様書などが指定されていますので、それらのとおり工事が行われているか、くまなくチェックします。

ただし、毎日のように現場に張り付いてチェックするわけではなく、例えば、コンクリート打設前の鉄筋検査といったように、各工程の要所要所で行い、施工会社からの聞き取りや材料品質証明、検査結果報告書などの提出書類の確認などを併用し、現場に応じた合理的な方法で行うのが一般的です。

どの程度合理的に行うかは、工事の難易度や施工会社の能力に応じて工事監理者各自の判断で行いますが、基本的な工事監理の方法について国が定めた定めた指針「工事監理ガイドライン」を基本に行うことが推奨されています。

工事管理者や現場監督との違い

工事監理者と似た、よく耳にする工事管理者や現場監督との違いについて、かんたんに説明します。

工事管理者とは

工事施工者工事管理者とは、一般的に工事施工会社の現場代理人をいい、工事の材料、下請け会社・職人などの手配や、工程の段取り・調整、施工確認といった工事の全般を取り仕切る者をいいます。

図面通りの工事を完成させるという意味では工事管理者工事監理者も同じ目的に向かって仕事をしていますが、工事管理者は図面どおりつくる立場、工事監理者は図面どおりかどうかをチェックし、つくらせる立場にあたります。

また、工事管理者は、あくまでも施工会社に属する現場統括者の通称ですが、工事監理者は上述のとおり、会社の立場は関係なく「建築士の法的立場」を指しており、両者の立場や業務の性格は漢字一文字で大きく異なります。

工事監督とは

一方、現場監督工事監督という言葉がありますが、上の工事管理者をさす場合と、発注者の代理人として契約履行を確認する立場の者を指す場合があり、「現場で上に立って、指図・取締まりを行う者」という広い意味で用いられるのが一般的です。

工事監理に伴う施主の責務

続いて、工事監理に伴う施主(建築主)の役割などについて見ていきましょう。実は、工事監理者は施主(建築主)と密接な関係にあります。

施主(建築主)の立場や責務を明確に意識するためにも、工事監理において、施主(建築主)が行わなければならないことについて説明します。

工事監理者の選任

施主(建築主)は、自分の住宅を建てるとき、原則として工事監理者を選任しなければいけません。

■建築基準法第5条の6第4項

 建築主は、(建築士法第三条第一項~(以下略)に規定する建築物の工事)に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第三条第一項~(以下略)に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。

■建築基準法第5条の6第5項

 前項の規定に違反した工事は、することができない。

一般的には、ハウスメーカーから、その社員である建築士を工事監理者として選定する旨の説明を受け、それを了承する形で決まりますが、あくまでも、法的に定める義務があるのは施主(建築主)となります。

工事完了検査申請書の提出

施主(建築主)は住宅の工事が完了した場合は、建築基準法に適合しているかどうかを行政機関(指定確認検査機関)に検査してもらうため、完了検査申請書を提出します。(中間検査がある場合も同様です。)

■建築基準法第7条第1項

 建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。

その際、以下のように、施主(建築主)と工事監理者、両者の記名により提出します。

工事完了検査申請書(第一面) 様式

工事完了検査申請書(第一面)は施主(建築主)が申請する

申請書には、工事監理者によって記載された「工事監理の状況」(第4面)を添付します。

工事完了検査申請書(第四面) 様式

工事完了検査申請書(第四面)工事監理者が記入する

この書類からも分かる通り、施主(建築主)と工事監理者は「密接なパートナー」であることが分かります。

なお、実際には手続きを委任するのが一般的なので、ハウスメーカーなどの住宅会社が行います。よって、「業者の責任できちんと現場を確認し、検査もしっかり受けているはず」といった意識になり、検査の手続きの実態がよく見えません。

しかし、本来的には、施主(建築主)自らが工事監理者を選任し、工事監理をさせたうえで、事実に相違ないと申請しているのですから、検査における当事者は紛れもなく施主(建築主)なのです。

工事監理者の立場や責務とともに、このような施主(建築主)の立ち位置も知っておくことが大切です。

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まとめ 工事監理者とは

以上、工事監理者の役割などについてまとめます。

工事監理者の役割等
  • 工事監理者は建築士
  • 工事監理者は施主が選任する
  • 工事監理者は工事が図面通りかどうかを確認する
  • 工事監理者は工事が図面通りでなければ工事施工者に注意し、注意に従わない場合は施主(建築主)に報告する
  • 工事監理者は工事監理が終了したら施主に報告する
  • 工事監理者は、工事全般にわたり、合理的な方法によって工事の確認作業を行う
  • 工事管理者は図面通りにつくる役目、工事監理者は図面通りにつくらせる役目
  • 施主は工事監理者の記名とともに工事完了検査申請書を提出する

そもそも工事施工者は、請負契約に基づいて図面通り工事を行う契約上の義務を負っていますが、さらに、建築士が法的義務としてそれを確認することによって、施主の利益保護が図られる仕組みになっています。

平屋
このような専門家による現場の監視効果を前提とした住宅生産の仕組みは、消費者でもある施主にとって、非常に重要な役割を果たしていることがおわかりいただけたと思います。

それから、工事監理の不備を誰かのせいにできないということ・・・「素人だからよくわからない」ではなく、施主(建築主)の責任で工事監理者を選任しているという主体者(自分事)としての意識が大切です。

まずは、こうした仕組みが前提となって、あなたの家が建てられているということを理解しておきましょう。その上で、この工事監理者に関連した、家づくりで最も重要なことについてご覧いただきたいと思います。
住宅業者選びの最重要ポイント―第三者工事監理にするかをまず決める

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