家づくりにおける設計・監理・施工者の役割―消費者保護の体系図のページで、施主と住宅の最低限の安全・安心を確保する基本制度について詳しく説明しました。

ここでは、その基本制度に加えて、住宅の性能をより高めたり、消費者保護の体制をより強化できる公的制度について、その概要を説明します。

よくある疑問
  • ○○認定、○○表示、○○等級など住宅制度の用語がいろいろあってよくわからない
  • 選択すべきかどうかの判断ができない

そのような方のために、各制度の大まかな特徴の説明と詳細情報へのリンクを掲載します。制度を活用すべきかどうかの判断にお役立てください。まずは、全体が見えるよう基本制度も含めた住宅制度の全体図をご覧ください。

住宅の制度全体図

以下の図は、住宅の基本制度と施主が自らの判断で活用できる選択制度を総合的に示したものです。

■住宅を支える基本制度と選択制度

住宅を支える基本制度と選択制度

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各制度の解説

上図に示した各制度、および関連用語について解説します。なお、ここでは、施主が自ら選ぶことができる選択制度について解説します。基本制度については、以下のページをご覧ください。
家づくりにおける設計・監理・施工者の役割―消費者保護の体系図

制度解説メニュー

1.住宅性能表示制度

住宅性能表示制度とは、住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、劣化対策等)を全国共通のものさしで表示し、消費者による住宅の性能の相互比較を可能にする制度です。

住宅性能が確保されているかどうかの評価を大臣登録の第三者機関が客観的に設計・工事をチェック(現場検査は全4回)するので、評価結果の信頼性が確保されます。

住宅性能表示制度について | 一社 住宅性能評価・表示協会品確法:住宅の品質確保の促進等に関する法律-電子政府の総合窓口(e-Gov)

この制度の主なメリットを説明します。

制度利用のメリット

  1. 資産の価値を明確にできる
  2. 住宅の性能を工事の契約事項にできる
  3. トラブル発生時には紛争処理支援を受けられる
  4. 地震保険料が割引
  5. 他の制度との併用

1.資産の価値を明確にできる

例えば、「うちは耐震性の高い住宅です。」と住宅会社に説明を受けても、それがどの程度高いのかわかりません。しかし、「うちは標準で耐震等級2を取得しています」と説明されれば、その価値は明確です。

等級の例
  • 耐震等級1:建築基準法レベルの耐震性
  • 耐震等級2:建築基準法レベルの1.25倍の耐震性
  • 耐震等級3:建築基準法レベルの1.5倍の耐震性

2.住宅の性能を工事の契約事項にできる

法律(※)上、住宅性能評価書の交付を受けると、そこに表示された住宅の性能を有する建設工事を行うことを契約したものとみなされるため、あいまいにされることもある住宅の基本性能を明確な合意事項にできるメリットがあります。

(※)品確法 第6条(住宅性能評価書等と契約内容)
住宅の建設工事の請負人は、設計された住宅に係る住宅性能評価書(以下「設計住宅性能評価書」という。)もしくはその写しを請負契約書に添付し、または注文者に対し設計住宅性能評価書もしくはその写しを交付した場合においては、当該設計住宅性能評価書またはその写しに表示された性能を有する住宅の建設工事を行うことを契約したものとみなす

3.トラブル発生時には紛争処理支援を受けられる

性能評価を受けた住宅(建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅)は、万一、契約に関連するトラブルが起きても「指定住宅紛争処理機関」が迅速・公正に対応してくれます。(1件につき1万円で利用することができます。)

指定住宅紛争処理機関とは
指定住宅紛争処理機関は、国土交通大臣が指定した機関で、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関です。(全国各地の弁護士会が指定されています)

4.地震保険料が割引

性能評価を受けた住宅(建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅)は、評価された耐震性能の等級に応じ以下の地震保険料の割引を受けることができます。

地震保険料の割引率表

表:以下の参照ページを元に当サイトで作成

住宅性能表示制度 制度のメリット | 一社 住宅性能評価・表示協会地震保険制度の概要―財務省

なお、上記①~④の割引は複数に該当しても割引率は加算されません(いずれか一つの選択適用)。つまり、これから新築する場合は、①の建築年割引(10%)が適用となるため、耐震等級1を取得しても割引(10%)に変わりはありません。

耐震等級取得によるメリットがあるのは、等級2以上を取得した時となります。

5.他の制度との併用

住宅性能表示制度の等級は、他の認定制度や補助金制度の要件に用いられることが多く、それらの要求性能を把握しやすくなります。

住宅性能表示制度は共通のものさし

これまで、住宅性能制度の評価項目や等級が長期優良住宅の認定基準と同じになるよう改正されるなど、住宅の性能を共通のものさしで理解できるよう、随時見直しが行われています。近年はZEHの普及に伴い、等級の新設などが行われています。

住宅性能表示制度が見直されました | 一社 住宅性能評価・表示協会

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2.長期優良住宅認定制度

長期優良住宅とは、耐震性、省エネルギー性、劣化対策、維持管理容易性に優れた長く安心して暮らせる住宅をいいます。所定の基準をクリアし、建設地を所管する行政庁の認定を受けることで、さまざまなメリットを受けることができます。

認定基準は全国共通のものさしでである住宅性能表示制度の評価方法基準を引用しています。(例えば耐震性の認定基準は耐震等級3をクリアなど。)

長期優良住宅のページ-国土交通省長期優良住宅について | 一社 住宅性能評価・表示協会長期優良住宅認定制度の概要についてパンフレット | 一社 住宅性能評価・表示協会長期優良住宅建築等計画の認定を行う所管行政庁の検索 | 一社 住宅性能評価・表示協会

この制度の主なメリットを説明します。

制度利用のメリット

  1. 良質な資産価値を明確にできる
  2. 税制優遇
  3. 住宅ローン優遇
  4. 地震保険料が割引
  5. 他の制度との併用

1.良質な資産価値を明確にできる

長期優良住宅の認定を受けるためには

  • 劣化対策:床下・小屋裏の換気、通気、構造材の防腐措置等(等級3)
  • 耐震性:建築基準法レベルの1.5倍の耐震性(等級3)
  • 省エネルギー性:断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6
  • 維持管理更新の容易性:維持管理対策等級3

など、一般住宅よりも進んだ性能基準に適合している必要があります。

よって、長期にわたって安心して住むことができ、資産性の向上に寄与します。また、認定を受けることによって売却時などに第三者に対して質の高い性能価値を明確にできるメリットがあります。

2.税制優遇

長期優良住宅は一般の住宅と比べ以下のように税制が優遇されています。

住宅性能別 減税比較表
一般住宅低炭素住宅長期優良住宅
所得税減税住宅ローン減税
(13年間の最大控除額)
364万円
(省エネ基準適合住宅の場合)
455万円
投資型減税
(最大控除額)
65万円
登録免許税所有権保存登記(本則0.4%)0.15%0.1%
所有権移転登記(本則2.0%)0.3%
※2
0.1%戸建て0.2
マンション0.1
不動産取得税税率(本則4%)3%
課税標準からの控除額1,200万円1,300万円
固定資産税戸建て税額1/2
3年間
税額1/2
5年間
マンション税額1/2
5年間
税額1/2
7年間

3.住宅ローン優遇

長期優良住宅はフラット35Sにおいて、金利の引き下げ期間が優遇されます。
(フラット35S:一定の優れた住宅に対する当初金利の優遇)
住宅性能別 フラット35S比較表

■フラット35Sの2つのプラン

フラット35SのAプランBプラン比較図

認定を受けた長期優良住宅、低炭素住宅はAプランが適用され当初10年間金利が優遇されます

4.地震保険料が割引

長期優良住宅は耐震等級2以上の基準に適合することが要件となっているため、地震保険料の30%割引を受けることができます。(上の住宅性能表示制度における地震保険割引率の表をご参照ください。)

5.他の制度との併用

■補助金の利用

長期優良住宅とするための、一定の高い性能確保に要する工事費用に対して補助金制度が設けられています。
・新築の認定に係る補助金(地域の中小工務店等が木造の認定長期優良住宅を供給する場合)地域型住宅グリーン化事業(長寿命型)(地域型住宅グリーン化事業評価事務局)

・増築・改築の認定に係る補助金(既存住宅の長寿命化に資するリフォーム等を行う場合)長期優良住宅化リフォーム推進事業(長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室事務局)

■その他の制度におけるメリット

長期優良住宅は一定の高い性能(耐震等級2、断熱等性能等級4)を有するため、その他の制度でもその特徴を生かせます。
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の優遇(長期優良住宅は質の高い住宅として非課税額が優遇)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(国土交通省)

・移住・住みかえ支援機構が認めた「かせるストック」(正式名称:移住・住みかえ支援適合住宅)は「マイホーム借上げ制度」を利用する際に優遇。(長期優良住宅は「かせるストック」の認定要件の一つ。)「かせるストック」とは|一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI )

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3.低炭素住宅認定制度

低炭素住宅とは、省エネルギー性に特に優れた住宅をいいます。所定の基準をクリアし、建設地を所管する行政庁の認定を受けることで、さまざまなメリットを受けることができます。

低炭素建築物認定制度 関連情報-国土交通省低炭素建築物認定制度について(一社 住宅性能評価・表示協会)低炭素建築物新築等計画の認定を行う所管行政庁の検索(一社 住宅性能評価・表示協会)

この制度の主なメリットを説明します。

制度利用のメリット

  1. 高い省エネ性能を明確にできる
  2. 税制優遇
  3. 住宅ローン優遇
  4. 容積率緩和
  5. 他の制度との併用(補助金)

1.高い省エネ性能を明確にできる

低炭素住宅の認定を受けるためには省エネルギー性能に関し、長期優良住宅よりもさらに進んだ省エネ性能基準に適合している必要があります。

このため、省エネによる恩恵だけではなく、売却時などに第三者に対して優れた省エネ性能を有する住宅としての価値を明確にできるメリットがあります。

2.税制優遇

低炭素住宅は長期優良住宅と同様、一般の住宅と比べ税制が優遇されています。(所得税、登録免許税)
(上の長期優良住宅認定制度における住宅性能別 減税比較表をご参照ください。)

3.住宅ローン優遇

低炭素住宅は長期優良住宅と同様、フラット35Sにおいて、金利の引き下げ期間が優遇されます。
(上の長期優良住宅認定制度における住宅性能別 フラット35S比較表をご参照ください。)

4.容積率の緩和

低炭素住宅は蓄電池や蓄熱層などの省エネに資する設備の設置に要する床面積が、容積率の対象床面積から除かれます。

5.他の制度との併用

■補助金の利用
低炭素住宅とするための一定の高い省エネ性能確保に要する工事費用に対して補助金制度が設けられています。
・地域の中小工務店等が木造の認定低炭素住宅を供給する場合の補助金地域型住宅グリーン化事業(長寿命型)(地域型住宅グリーン化事業評価事務局)

■その他の制度におけるメリット

低炭素住宅は一定の高い省エネ性能を有するため、その他の制度でもその特徴を生かせます。
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の優遇(低炭素住宅は質の高い住宅として非課税額が優遇)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(国土交通省)

家づくりの進め方

最近は、SNSを通して、気に入った住宅会社の見学会へ参加するという流れがあります。注意したいのは熱いファンになりすぎて、冷静な自分を見失うことです。

どのようなルートを通じても、相手のペースで家づくりが勝手に進むことのないよう、事前の「学習」をしっかり進めておくことが大切です。以下の情報源を活用しながら、広く全体を見渡し理解を深めていきましょう。

ハウスメーカー選びや家づくりで悩んでいる方へ

勉強が大切なのはわかるけど、わからないことが多すぎて、自分で判断できない…このように悩んで行き詰まっている方に、お伝えしたいことがあります。

施主が抱える多くの悩み…
  • 手順や段取りがわからない
  • 土地も含めた全体予算や返済額が見えない
  • カタログを比較しても優劣がわからない
  • 自社のみを押すハウスメーカーの話を聞いてもそれが正しいのかわからない
  • 結局どのハウスメーカーが自分に合っているかわからない
  • 子供を連れてハウスメーカーと何社も話せない
  • 各社を回る時間が無い、感染症も不安
  • 通勤と子供の通学に適した土地情報がわからない
  • ハウスメーカーと打合せ中、迷ったときに誰にも相談できないのが不安

これらの悩みが残ったまま、ハウスメーカーと直接向き合ってしまうと、自分のペースが乱され、つまづく原因になります。重要なことは、これらの悩みを先に解消し、家づくりの方向性にしっかりとした軸を持ってハウスメーカーと向き合うことです。

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