ZEH:ゼッチで55万円補助 2023(令和5)年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業の概要

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ここでは、2023年度のZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)に対する補助事業の概要について紹介します。

ZEHゼッチとは、かんたんにいうと、エネルギー収支が概ねとなる住宅・・・つまり太陽光で発電したエネルギーと、消費エネルギーが概ね同じになる省エネ性能の高い住宅をいいます。

国は現在、このZEHの普及を強く勧めており、「ZEH」を新築、購入する方に対し、補助金を交付しています。

複数あるZEH補助メニューの内、ここでは、個人が対象の戸建て住宅の補助制度について、全体概要、補助要件などを、ポイントを絞ってわかりやすくお伝えします。

2023年度 ZEH支援事業の概要(戸建て住宅)

戸建て住宅の補助メニューの全体概要は以下の通りです。

主な要件と補助額(戸建て住宅)

2023ZEH補助金をもらえる人、主な要件、補助メニュー・補助額

公募要領の変更にご注意ください

募集対象や補助要件などは、当初の内容で記載しています。公募時期によって内容が変更となる場合がありますのでご留意願います。

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ZEH+、次世代ZEHとは

戸建て住宅の補助メニューは上記のとおり、ZEHの種類に応じて①~④の4つあります。

ZEHとはそもそも何か?については後述しますが、4つのZEHの大まかな違いを以下に示します。主に、省エネ性能、自家消費拡大設備の違いにより分けられています。

■各ZEHの性能イメージ

①ZEH 高断熱、太陽光発電システム、省エネ設備を導入したエネルギー収支0の住宅
ZEH+ ZEHをさらに省エネ化し、電気自動車充電設備などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備等を導入した住宅
次世代ZEH+ ZEH+から、さらに蓄電システム、燃料電池などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備等を導入した住宅
次世代HEMS 次世代ZEH+から、さらに太陽光発電エネルギーの自家消費を拡大するために、AI・IoT技術等による最適制御を行うもの

■ZEHのイメージ

ZEHの設備イメージ
ZEH支援事業 公募情報パンフレット-SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)より

■ZEH+、次世代ZEH+のイメージ

ZEH+、次世代ZEH+の設備イメージ
ZEH+、次世代ZEH+イメージの凡例

次世代ZEH+(注文住宅)実証事業 公募要領-SIIより

自家消費拡大設備等とは、太陽熱温水システム、電気自動車への充電設備、蓄電設備、断熱強化、エネルギー制御など、創ったエネルギーを、できる限り自宅で効率よく使えるようにするための設備や措置をいいます。

こうした売電のみを前提としない、再生可能エネルギーの自家消費への寄与度が高いほど、補助金が高く設定されるイメージになります。

それぞれのZEHに必要な設備の違いについては、次の比較表で説明します。

ZEHの種類別 補助額・要件

各補ZEHの補助額、要件は以下の通りです。

①ZEH ②ZEH 次世代ZEH 次世代HEMS
補助額 定額55万円/戸 定額100万円/戸 定額112万円/戸
追加補助額 [蓄電システム]
2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は 20万円のいずれか低い額
[CLT ※1] 定額90万円/戸 [燃料電池(エネファーム等)] 2万円/台
[地中熱ヒートポンプシステム]
定額90万円/戸
[V2H充電設備※2]
補助対象経費の1/2又は75万円のいずれか低い額
[PVTシステム ※3] 65~90万円/戸 [太陽熱利用温水システム]
液体式:17万円/戸 空気式:60万円/戸
[液体集熱式太陽熱利用システム]
12万円/戸もしくは15万円/戸
補助対象(申請)者 ・戸建住宅を新築する方
・新築戸建て建売住宅を購入する方
・戸建住宅を新築する方
対象ZEH ・ZEH・Nearly ZEH(注1・ZEH Oriented(注2 ・ZEH+
・Nearly ZEH+(注1
主な要件 ・各ZEHの要件を満たすこと・省エネルギー性能評価書(BELS等)を取得すること・申請する住宅は、SIIに登録されたZEHビルダー/プランナー ※4が設計、建築又は(販売)を行う住宅であること。
20%以上の一次エネルギー消費量削減 25%以上の一次エネルギー消費量削減
・HEMS※5の導入 以下の内2つ以上を導入
・さらなる高断熱化
・HEMS(高度エネルギーマネジメント)※5
・電気自動車(PHV車含む)の充電設備または充放電設備
・HEMS(高度エネルギーマネジメント)※5の導入以下のいずれかを導入
・さらなる高断熱化
・電気自動車(PHV車含む)の充電設備または充放電設備
以下のうち1つ以上を導入
・蓄電システム・V2H充電設備※2・燃料電池・太陽熱利用温水システム・太陽光発電システム10kw以上
以下のいずれかを導入
・蓄電システム・V2H充電設備※2
・AI、IoT技術等による最適制御を行う仕組みを備える
事業詳細 ZEH支援事業 公募情報-SII 次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業公募情報-SII 次世代HEMS実証事業 公募情報-SII
備考 注1:寒冷地、低日射地域、多雪地域に限ります。
注2:都市部狭小地の二階建以上及び多雪地域に限ります。
参考:Nearly ZEH、ZEH Orientedとは(下へジャンプ)

SII:一般社団法人環境共創イニシアチブ

表内の※1~※5の用語の意味は次の通りです。

※1 CLTとは

CLT(直交集成板)とは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルをいいます。
これを壁・床・屋根の構造体に使用しZEH住宅とした場合に補助対象とできます。CLTのより詳しい内容や建築例は以下をご参照ください。

CLTとは:一般社団法人 日本CLT協会

※2 V2H充電設備(充放電設備)とは

V2Hとは、Vehicle to Home(車から家へという意味)、つまり、単に電気自動車へ充電するだけでなく、自動車に貯めた電気を住宅で利用できるようにする仕組みを持つ充電設備(充放電設備)をいいます。これにより、電気料金の安い夜間に自動車へ充電した電気を、日中に家庭で利用できたり、また万が一の停電時の電源として活用できます。

V2Hの仕組みのイメージ

※3 PVTシステムとは

PVTシステムとは太陽光発電パネルと太陽熱集熱器が一体となったものをいいます。

※4 ZEHビルダー/プランナーとは

自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合を2025年度(令和7年度)までに50%(または75%)以上とする事業目標を掲げるハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者等をいいます。登録されたZEHビルダー/プランナーは以下で公開されています。

ZEHビルダー/プランナー一覧検索-SII

※5 HEMSとは

ホームエネルギーマネジメントシステムの略で、発電量、売電量、電力使用量を計測・見える化できる機器をいいます。

HEMS(高度エネルギーマネジメント)とは

太陽光発電設備等の発電量等を把握した上で、住宅内の暖冷房設備、給湯設備等を制御できるHEMSをいいます。

■その他共通要件等

    • 交付決定日以降に本事業に着手すること
    • 住宅は申請者が常時居住する専用住宅であること
    • 導入する設備は各事業の要件を満たすものであること。

など・・・

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スケジュール

今年度のZEH補助金の募集と完了スケジュールを以下に示します。家づくりのスケジュール検討の参考としてください。なお、手続きは公募期間中に交付申請を行い、原則として交付決定通知後に工事に着手する必要がありますのでご注意ください。
2023ZEH補助金全体スケジュール

スケジュールは変更となる場合があります。最新の情報は、各事業ホームページをご確認ください。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とはなにか?

ZEH(通称ゼッチといいます。)とは、簡潔にいうと、「省エネ性能が高く、使うエネルギーと創るエネルギーがほぼ同じになる住宅」をいいます。エネルギー収支が0ということです。

ZEHのイメージ

もう少し具体的に説明すると、

  • 断熱性能が高い
  • 暖房や給湯などの設備は燃費の良いものを使用
  • 太陽光発電などにより再生可能エネルギーを創る

これらによって、消費するエネルギーを従来から20%以上減らし、さらに、使う分と同じだけのエネルギーを発電などで補うことを目指した住宅をいいます。

経産省 資源エネルギー庁では、ZEHを以下のように説明しています。

ZEHは、快適な室内環境を保ちながら、住宅の⾼断熱化と⾼効率設備によりできる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電等によりエネルギーを創ることで、1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅

発電した電気ですべてをまかなうの?

なお、このZEHは、実際に発電した電気で、その住宅の暖冷房・給湯・照明の設備をすべて動かすということではなく、あくまでも、使うエネルギーと発電したエネルギーが、年間のトータルで同じになるように設計施工された住宅をいいます。

つまり、必ずオール電化住宅にする必要はありません。

そして、使うエネルギーと発電するエネルギーを比べる際、ガスや灯油、電気などの消費量を共通の単位に換算して比較する必要がありますので、その時に用いられる単位が「一次エネルギー消費量(単位:Jジュール)」というものになります。

一次エネルギーとは

一次エネルギーとは原油などの原料となるエネルギーをいいます。原料から加工されたガスや灯油、電気などの二次エネルギーは、単位が異なっているため、共通の単位でエネルギーの量を評価するために、一次エネルギー(単位:Jジュール)までさかのぼって単位変換します。

国は、「2030年までに新築住宅の平均で住宅の年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロとなる住宅(「ZEH」)の実現を目指す」とする政策目標を設定しており、この目標に向けた誘導支援として補助金の交付が行われています。

Neary ZEH、ZEHOrientedとは

前述のように、ZEHは、ZEHZEH+次世代ZEHなどに分類されていますが、これは、省エネ性能や発電エネルギーの自家消費性能の違いにより、補助制度上分けられているものです。

これとは別に、ZEHには、発電能力の違いによってNeary ZEH、ZEHOrientedの定義があります。
その違いをかんたんに整理したのが次の表です。

■ZEHの定義(戸建住宅)

ZEHの分類 外皮基準(UA値) 一次エネルギー消費量削減率 その他
地域区分
1・2 3 4~7 再エネ等含まず 再エネ等含む
ZEH
ゼッチ
0.4以下 0.5以下 0.6以下 20%以上 100%以上 再生可能エネルギーを導入
Neary ZEH 75~100% 再生可能エネルギーを導入
ZEH Oriented 再生可能エネルギー未導入も可

Nearly ZEHとは

⽇射が当たりくい地域の住宅では、エネルギーを創ることに限界があることを考慮して、ZEHには届かないが、それに近いという意味で定められた基準です。

ZEHとの違いをわかりやすく説明すると、以下の通りです。

■ZEHとNearly ZEHの違い

太陽光パネルなどによる再生可能エネルギーによって、消費エネルギーの

  • 100%をまかなえるものがZEH
  • 75%以上まかなえるものがNearly ZEH

となります。なお、寒冷地、低日射地域、または多雪地域に限って、Nearly ZEHあるいは、Nearly ZEH+も補助の対象とすることができます。(補助額は同額。上部の表をご参照ください)

ZEH Orientedとは

都市部狭小地の小さい屋根の住宅では、日射を得にくいことを考慮して定められたZEHです。断熱や設備などはZEHの基準は満たしているが、太陽光パネルなどの導入までは求められません

なお、ZEH Orientedに該当する場合も、①ZEHの補助対象とすることができます。(補助額は同額。上部の表をご参照ください)

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ZEHビルダー/プランナーの一覧

この補助金は、SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)に登録されたZEHビルダー/プランナーによる設計、建築、改修、販売される住宅であることが交付の要件となっています。登録は以下で確認することができます。
ZEHビルダー/プランナー一覧検索(随時更新)-SII

ZEHビルダー/プランナーマーク

なお、一覧表には、ZEHの目標戸数割合・実績戸数割合、各社のホームページURL、ZEHビルダー/プランナー評価(★★★)などが記載されていますので参考としてください。

■ZEHビルダー/プランナーの評価とは
これまでのZEHの建築実績などに基づいた評価を6段階(★の数)で表したものです。

制度のポイントQ&A

よくある質問コーナー
この制度における注意点、ポイントをQ&A形式にまとめました。気をつけるべき点について押えておきましょう。

誰が申請するの?
補助金の交付申請ができるのは、

  • 新築戸建住宅の建築主
  • 新築戸建建売住宅の購入予定者

となっていますが、手続きについては、第三者に代行を依頼することが可能です。手続きはスケジュール管理も含め、煩雑、かつ専門知識を要しますので、ZEHビルダー/プランナーに手続きを依頼するのがスムーズです。

ZEHの補助要件を満たせば必ず補助を受けられるの?
必ず補助を受けられるわけではありません。公募は、ZEHビルダー/プランナーごとに設定戸数があり、依頼するZEHビルダー/プランナーやタイミングによって、申請できない場合があります。また、予算に達した段階で公募が終了する場合もあります。
交付決定日前に事業に着手した場合、補助は受けられますか?
補助は受けられません。新築する場合で事前着工した場合や、新築建売住宅購入の場合で事前売買契約をしたものは要件不適合となります。
発電した電気は買い取ってもらってよいのですか?
補助金の交付を受ける要件として、「余剰電力買取方式に限る」とあり、自家消費して余った電力は売ることができますが、「全量買い取り方式」にすると補助金の対象となりません。
ZEHはどんなメリットがあるのですか?
ZEHとは、高断熱、高効率設備、発電、蓄電を組み合わせた、省エネルギー性能では先端をいく住宅です。メリットとしては以下のようなものがあります。

  • エネルギー消費が少なく光熱費が低減できる
  • 高性能な省エネ住宅として資産の高価値化ができる
  • 性能評価を受けるため、客観的なZEHのブランド価値を付与できる
  • 認定住宅としやすく、優遇減税を受けやすい
  • フラット35Sの金利優遇、住宅ローン減税の優遇を受けられる

一方、デメリットとして、太陽光発電設備が必須であるなど、初期の費用が割高となってしまう点が挙げられます。一般的にZEH化には250~300万円程度かかるといわれています。

結局光熱費はタダになるの?
必ず光熱費がかからないというわけではありません。あくまでも、一定の想定のもとエネルギー収支が概ねを目指しているもので、実際の利用結果として、光熱費の収支がにならない場合もあります。

ただ、実態上、使用電力を控えたり、天候により発電電力が多くなった場合などは、余剰電力(発電した電力-使った電力)の買取によって、光熱費の収支が0になるケースもあります。

参考:実際の光熱費の算定例
ZEHの年間光熱費ってどれくらいなの?(ゼロエネ住宅を建てよう)

ZEH住宅のカタログを手に入れる方法

実際にZEH住宅を手がけるハウスメーカーのカタログを見たい場合は、カタログお取り寄せサービスが便利です。

以下のページの「条件からカタログを探す」でZEH住宅を選択してください。

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関連情報

経済産業省および環境省による戸建ZEH補助事業-SIIZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について-経済産業省ZEH、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について-国土交通省

住宅取得にかかる補助金・減税制度全般については以下もご活用ください。

まとめ

最後に補助の要件についておさらいします。

ZEH補助金の主な要件(戸建て)

  • ZEHを新築購入する
  • 所有者自ら居住する専用住宅である
  • SIIに登録されたZEHビルダー/プランナーが建設に関与

ZEHは国の施策として大きな投資がなされている分野であり、今後も住宅性能の大きな旗印になると考えられます。初期費用のハードルもありますが、光熱費の削減だけではく、客観的な性能価値を資産に付与できるメリットがあります。また、快適性やヒートショック緩和など、実際の住み心地の面での良さも期待できるといわれています。

初期費用の負担緩和には、こうした制度の利用は欠かせませんので、ZEHを検討される方は是非とも活用しましょう。

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